キット・アームストロング
~バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻~
2026年3月10日(火) 19:00開演
全席指定 5,500円
キット・アームストロング(ピアノ)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869
現代屈指の知性のピアニスト、キット・アームストロング。東京春での一連のコンサートは行けなかったのですが、初来日のコンサートの印象は強いものがあります。機械的な卓越した技巧に加え、すべてがコントロールされたその構成力に度肝を抜かれました。また、アンコール時にピアノが弦が切れてしまったのですが、その鳴らない音を避けて、一部曲をその場で編曲しながら弾き切ったのも、強い印象が残りました。
さて、今回は24調性の宇宙的な世界、1曲が前奏曲とフーガで構成されリバッハの平均律クラヴィーア曲集、全曲で2時間少しでしょうか、弾き手、聴き手双方に相当な集中力を求める作品で、この曲だけでコンサートを行うのは一種のリスクもあるでしょう。最近ではエマールが弾いていましたね(今年は第2集を弾くコンサートが開催予定)。KAのタッチは音色を重視したものではありませんが、パレット自体の色彩はそこまでないというか、意識されていないのですが、見事に音を引き分ける力がものすごいものがあり、鮮やかなテクニックで疾走するのですが、それが俯瞰してコントロールされているというか。まあすごいものです。若い若いと思っていましたが、もう30代半ばになり、いよいよピーク期に入ろうとしているのだと思います。最近優秀な人が多い日本人ピアニストですが、KAのようなタイプは出会ったことがなく、孤高的な存在でもあるでしょう。藤田真央とは対極のイメージ。
人によっては製図をするようにあっけらかんと弾いていて、どうも人間味が、という方もいるのではないかと想像しますが、それはそれ。また、早いパッセージで指を立てて爪が当たるのでカチカチと音がするのですが、本人は当然お構いなし、そこは焼成も気になるので、今回は少し後ろ目の席で予約しましたが、それも正解でした。次回の来日公演も是非行きたい、と思わせてくれる天才ピアニストの公演、堪能しました、では。

