新国立劇場2025/2026シーズン
リヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」(新制作)
7月12日(日)14:00新国立劇場オペラパレス
指揮:大野和士
演出:ヨハネス・エラート
美術:ハイケ・シェーレ
衣裳:ノエル・ブランパン
照明:オラフ・フレーゼ
映像:ビビ・アベル
クリテムネストラ:藤村実穂子
エレクトラ:アイレ・アッソーニ
クリソテミス:ヘドヴィグ・ハウゲルド
エギスト:工藤和真
オレスト:エギルス・シリンス
オレストの養育者:斉木健詞
クリテムネストラの腹心の侍女:中村真紀
クリテムネストラの裳裾持ちの女:杉山由紀
若い下僕:糸賀修平
年老いた下僕:河野鉄平
監視の女:森谷真理
第1の下女:金子美香
第2の下女:谷口睦美
第3の下女:清水華澄
第4の下女:髙橋絵理
第5の下女:田崎尚美
合唱指揮:冨平恭平
合 唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
プログラム
リヒャルト・シュトラウス:オペラ「エレクトラ」(新制作)
全1幕(ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付)
今シーズンの新国は推しとなる公演が少なかったですが、期待のエレクトラ、楽日に行ってきました。初日に行った諸兄姉妹弟の感想は、特に大野・東フィルの演奏に辛めのものが多かったですが、いつもの新国パターンで上演回数を経ると精度や燃焼度が高まりこの日は煽るようなところは大野のスタイルからないですが、ここぞというところで燃焼度の高い音を東フィルから引き出していました。まあ、最終部分はもっとごっつく演奏してほしい欲求はありますが(笑)。
ヨハネス・エラートの演出、舞台セットもなかなか凝っており、深読みもさせる演出で、突拍子もないことはなく、物語の流れも想像以上に自然、最近の新国の上演ではペレアスが印象に残っていますが、こう書くと小生の趣味がばれてしまいますね。
歌手はベテランのアッソーニ、声量もあり、ディクションがしっかりしているので、ドイツ語をほとんど解さない小生でも気持ちよく聞けました。楽日であり、エネルギーも最後にかなり放出したのかもしれません。近年演奏会形式でのガーキー、パンクラトヴァが素晴らし過ぎたので比較するのは不利ですが、十分合格点。クリソテミスは若手のハウゲルト、やや叫びがちになるものの、声量が凄い。見た目も美しく来年新国でサロメに題名役で出演するそうですが、これは行けるかも、と期待させるものがありました。クリテムネストラは藤村実穂子、この役は各地で歌っているようですが、藤村は声量がそこまでない代わりに役の深堀りと、如何にも真っすぐ(ある意味融通が利かない)な歌唱、今回は演技も上手く、野太い毒婦ではなく、神経質でありながら、現状を心の底では悔いている母親を実に巧みに表現していました。
エギストは出番が少ないながら、工藤はこの役に結構スポットが当たったこの演出で良い仕事をしていました。オレストはシリンズ、得意なロールで各地で歌っているようですが、こちらも出番が少ないので勿体ない、まあオレストが頼りない歌唱だとこけてしまうので、今回の舞台を支えたとも言えるでしょう。
五人の下女と監視の女は、二期会などで主役級の歌手がズラリ、冒頭聴きごたえがありました。若い下僕の糸賀、こちらは歌唱というよりは、演出上の結構重要な役でしたね。
新国のエレクトラ、もう20年ほど前でしょうか、レーゼンの演出で、セクンデが題名役を歌ったものでしたが、セクンデの歌唱が強烈で、小澤の録音ではクリソテミスを歌っていたのに、エレクトラを?と不安でしたが、それを吹き飛ばす見事な歌唱でした。エレクトラは題名役に人を得ないと上演できないでしょうからね。昔の名前で上演してしまうと、盛りを過ぎたポラスキが小澤の指揮で歌った舞台がありましたが、これは悲惨でした(バルツァがクリテムネストラ)。
近年演奏会形式が中心ですが、サロメ(A.グレゴリアン)、エレクトラ(ゴーキー、パンクトラヴァ、アッソーニ)、ばらの騎士(ウィーン国立歌劇場)とR.シュトラウスの歌劇で良い上演が続いていますが、来年のサロメはハウゲルトに期待しつつ(ばらの騎士はどうなることかしらむ?)、影のない女やカプリッチョの質の良い上演がないか、叶わぬ夢なのか、東京春でヴァイグレ読響で演奏してくれないものか、、、、と期待してしまいます、では。





