日時・会場
2026年3月25日 [水] 19:00開演(18:00開場)
東京文化会館 大ホール
出演
指揮:マレク・ヤノフスキ
ヴァルデマール王(テノール):デイヴィッド・バット・フィリップ
トーヴェ(ソプラノ):カミラ・ニールンド
農夫(バリトン):ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
山鳩(メゾ・ソプラノ):オッカ・フォン・デア・ダメラウ※
道化師クラウス(テノール):トーマス・エベンシュタイン
語り手(バリトン):アドリアン・エレート
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
曲目
シェーンベルク:グレの歌
ヤノフスキの東京の春、最後の出演、このレベルの歌手でなかなか聴けない大曲グレの歌、高水準の充実した演奏となりました。
ヤノフスキ、年末のN響第九を指揮するなど来日機会がない訳ではありませんが、90歳近くになり、大曲を振るのは(インバル、ブロ翁、デュトワなどの例外はありますが)ご自身で制御されたということなのかと想像しています。
しかしこの大曲を見事に設計し、1stVnなど20名、画像の通りの大編成ですが、聞えてくるべき音がしっかりと明晰に表現されていて客席に届く、艶はないのですが、見事と言わざるを得ません。N響も破綻がないどころか、内燃的な音が迫るようであり、この厳しい老マイスターへの敬意が感じられました。
歌手では、歌いっぱなしの難役ヴァルデマール王のバッド・フィリップが想定以上の出来栄え、ヤノフスキの見事なオケの音量制御もあり、出だしはやや声量不足かと懸念したものの、尻上がりに調子を上げ、この大役の役割を果たしました。山鳩のダメラウも豊富な声量、以前聞いた時はそれほど印象になかったのですが、この日の歌唱は迫真的であり、短い出番が勿体ないと感じさせる見事な歌唱。
道化師のエベンシュタイン、語り手のエレートも申し分なし、前者は達者、後者は語り口の上手さは流石のもの。一方、意外なことにニールンドの歌唱がイマイチ、フォルテシモの部分のみ響きましたが、短い出番にも関わらずどうしたことでしょうか。ティーレマンとの録音ではバランスもある良い歌唱でしたので、調子が悪かったのでしょうか。農夫のクプファー=ラデツキーは、大胆な歌唱、悪く言えば荒っぽい歌唱でやや拍子抜け、各地で活躍する彼の名声に合わないもので、ここは残念。一番高名なニールンドとクプファー=ラデツキーでややこけたものの、バッド・フィリップとダメラウの名唱、そして何よりもヤノフスキの見事な指揮とそれに応えるN響により、全体としては名演となり、最後は身体もジンと感じるものがありました、では。



