2024年9月7日 (土) 14:00 開演 サントリーホール
指揮:カーチュン・ウォン[首席指揮者]

 

ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB109(3楽章構成)

 

老指揮者でもブル9の前プロで、未完成やワーグナーの楽曲を置いてプログラムを作るケースが多いが、今回はブル9、1曲のみ、第4楽章補完版ならともかく3楽章の演奏としては聴いたことがありません。それだけ想い入れがあるということなのか。。

 

先ずは日フィルってこんな上手かったっけ?というのが第一印象、ホルンのトップは客演(元東フィルのトップの方?)でしたが、前日のシティフィルとは比べ物にならないくらいの力感、正確さには拍手。Tpも高位安定、木管はシティフィルの方が良かったですが、それでもなかなかのもの(Flが第2楽章大事なところで一音落としたのが惜しい)。弦楽器はコントラバスが真正面後方に並ぶウィーンフィルのような配置、また、ゲストコンマスはカーチュン・ウォンが首席であるハレ管の若いコンマス、これが良い仕事で、弦楽器が明らかに引き締まっていました、眩しい位の才能ある若者は観ていて気持ち良いですね。

 

演奏はカーチュン・ウォンらしい明晰さが際立つもので、金管、特にホルンがかなり咆哮しても、木管も弦も良く聴こえるのは的確なバランス感覚とコントロールの賜物。第1楽章、第3楽章で対比でスローな部分がよりスローだったのは一寸余計だったのかも。また、ブルックナーパウゼをここまでやる指揮者は久方ぶり。カーチュン・ウォンがとんでもない才能があるのは間違いなく、オケを聴かせる意味では期待通り、一方、第2楽章ABAのBの部分や、第3楽章の例のオーロラカーテンのような弦の響きの後は、この曲の最大の聴きどころである永遠性をもう少し強調しても良かったのではないかと。昨年のネルソンス・ゲヴァントハウス管のブル9は全体としては個性的であったものの、第3楽章のこの辺りは文句なく素晴らしいものでした。

 

それにしても日フィルはカーチュン・ウォンを獲得して本当に良かったですね。カーチュン・ウォンが首席である間は日フィルの定期会員は続けようと思います、では。