第1006回定期演奏会Bシリーズ
日時:2024年8月9日(金) 19:00開演(18:00開場)
場所:サントリーホール

指揮/ダニエル・ハーディング
ソプラノ/ニカ・ゴリッチ

 

ベルク:7つの初期の歌    
マーラー:交響曲第1番 ニ長調 《巨人》

 

ベルクは間に合わず。ハーディングは都響と初共演、コロナ禍で共演がリスケされていたもの。ハーディングは以前3年ほど新日フィルに客演を続けていた時期がありましたが、今回は都響、都響側でも色々と思惑もあるのでしょう。そう言えば、2011年3月東日本大震災の際、新日フィルとの共演でハーディングが来日して、ほとんどいない観客の前でマーラーの5番を演奏したのではなかったのではないでしょうか。

 

マーラーの巨人は、この作曲家の作品では8番と並んで、あまり手が伸びにくい作品。ヤルヴィとN響の驚異的な名演を除いては、名立たる指揮者・オケの演奏を聴いてきましたが、第1楽章の最終部、第2楽章のヴォンヴォンと唸る弦、第4楽章の盛り上がり以外は、じっと我慢みたいなことが多いのです(笑)。今回はハーディングはボーイングなど細かい解釈を書き込んだ楽譜を持ち込んだとのこと。スクロヴァ翁も良く持ち込んでいましたが、全部のパート譜に書き込みがあるのですから、準備が大変でしょうね。確かに微妙な強弱(特にピアニッシモ)が短いリハーサルの割りには細かく設定され、第1楽章前半や第3楽章の後半(の通常は退屈な部分)で効果をあげていました。

 

ハーディングの解釈は、細かい工夫があちことにありますが、殊更個性的なものではなく、重心は少し軽めでスイスイ進んで行くのは若い頃から同じ、感動というよりは清新でおっと思わせるところがあり、変な圧がないというか、一寸変わっているというか、面白い指揮者です。都響の反応は良く、コンマス水谷はじめ弦セクションは唸りも十分、ホルンパートが弱いのが現在の都響の泣き所、目立ったミスはないのですが、全体的に安定感に欠けるのはメンバーの入替含め何とかならないものでしょうか?勿体ない。第1楽章途中で携帯電話の地震警報がいくつも響きましたが、当然にそのまま続行、何やらそこで更に集中力が高まった印象もあります。盛大な拍手で聴衆も賞賛の意を示しましたが、是非ちょっと凝ったメインプログラムで再演を果たして貰いたいものです、では。