第45回霧島国際音楽祭 キリシマ祝祭管弦楽団 東京特別公演

2024年8月6日(火) 19:00
開場 / 終演予定
18:20 / 21:00
会場
サントリーホール Suntory Hall
出演
デイヴィッド・レイランド David Reiland (指揮, Conductor)
谷昂登 Akito Tani (ピアノ, Piano)
キリシマ祝祭管弦楽団 Kirishima Festival Orchestra (管弦楽)

 

R.ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』前奏曲と愛の死
F.リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 S.124/R.455  (ピアノ 谷昂登)

アンコール ストラヴィンスキー ペトルーシュカからの3章より
I.F.ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》 (1967年版)

アンコール ストラヴィンスキー 火の鳥 より終曲

 

鹿児島の霧島国際音楽祭、既に45回目ということで日本でも屈指の歴史を誇るフェスティバル・講習会で、名立たる卒業生が戻って演奏や指導にあたって層が厚くなっているとの話をよく耳にしますが、実際に鹿児島まで行くのはなかなか難しく、今回のような東京公演はその真価を聴くことができるのでありがたいですね。前回は数年前に下野指揮でワルキューレ第1幕を演奏し話題になったこともありました。

 

指揮はレイランド、一寸までに都響でラインなどを振って、手堅い良い音楽作りの指揮者との印象でしたが、昨年からこの音楽祭のメイン指揮者を務めているようです。冒頭のトリスタンはやや淡泊な解釈、オケも愛の死での頂点でもやや不完全燃焼か。その次のリストのピアノ協奏曲第1番、これが清新な演奏、谷昂登は20歳前後ですが、トッパンホールでの推しの若手、抜群のテクニックをベースにしながら、メカニックだけでなく、実に小気味が良く、また左手パートが浮き上がり立体的に聞かせる部分も十二分、以前の演奏よりもずっとスケールアップ、顔つきも精悍になってきました。霧島音楽祭には中学2年から参加しているとのことで想い入れもあるのでしょうね、オケの反応も良く快哉と言いたい演奏でした。アンコールはペトルーシュカからの3楽章より、こちらも良い、とにかく小気味が良く聴いていてワクワクさせてくれるピアノです、これからが楽しみ。

 

メインは春の祭典、1967年版とのことですが、普段聴くものとどこが異なるのが詳細は理解できていませんが、聴いているかぎりも良くわかりませんでした。見事なファゴットソロからしばらくして、イングリッシュホルンのソロが落ちてかなりヒヤッとしましたが、それ以降、火が付いたというか全体も燃焼度が上がったように感じました。レイランドもこれまでの印象と異なり、真っ直ぐではあるものの、アグレッシブなバーバリズム的な表現も多々入れながらエネルギッシュな演奏。ホルン群の弱さが残念でしたが、全体のレベルは噂に違わぬ充実ぶり。またティンパニーの激烈なアクセントは印象的でした。アンコールは火の鳥から終曲、前半、この曲の雰囲気を醸し出すのはアンコールでもあり難しかったようですが、力演でした。谷のアンコールからつなげると3大バレエとなりました。プログラムの意味付けは良く理解できませんでしたが、谷のピアノとハルサイの力演が聞けてなかなかの満足度でした、では。