2024/7/19(金)
19:00開演 18:30開場
辻 彩奈(ヴァイオリン)&阪田知樹(ピアノ)

 

シマノフスキ:神話 Op.30
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ
ショーソン:詩曲 Op.25
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 Op.78《雨の歌》

アンコール

ラヴェル:ハバネラ形式の小品
パラディス:シチリアーノ

 

辻彩奈とはなかなか縁がなく、リサイタルは今回が初めて。凛とした太さもある美音でヴィブラートは全体的に抑制的で好みのスタイル。この日の演奏ではラヴェルのヴァイオリン・ソナタが秀逸、後半のブラームスではやや淡泊に感じられた表現も、ここでは凛とした音を十分に響かせ、特に第1楽章はある種の官能性まで感じられました、それは素晴らしい。第2楽章のジャジーな曲想もピアノとのバランスが良く、第3楽章でゴリゴリ弾き過ぎる演奏が多い中、非常に音楽的な表現、阪田とのピアノの相性も抜群。阪田のピアノはやり過ぎるところがなく、シマノフスキの途中では若干物足りなさもあったものの、ラヴェルでのピアノは理性と合わせのバランスが抜群と言って良い物でした。ショーソンの詩曲、空気感の表現は〇、途中少し粘りがあると良いのですが、最初から最後まで同じ調子で押し通していましたね。しかしラヴェルと並んでフランス・フランドル系の近代音楽との相性の良さは十分確認できました。

 

冒頭のシマノフスキ、シマノフスキはVn協奏曲、オペラなど色々と採り上げらえますが、この神曲も高名な作品。この時代でヴァイオリンのかなりの種類の技巧を詰め込んだ作品、しかし派手なものではなく聴衆受けはイマイチとなることが多い作品です。ヴァイオリニストが聴くと面白いのでしょうね。

 

メインのブラームスの1番・雨の歌は、良く言えば誠実、コクがもう少し欲しいところ、この辺りは相性としか言いようがないのかもしれません。勿論、次元の高いところでの話ですが、、、。

 

アンコールは2曲、ハバネラ形式の小品、ラヴェル好きとしては恥ずかしながら、生で聴くのはおそらく初めてではないかと、如何にもスペイン、バスク色の強いラヴェルの特徴がセンス良く反映された作品、こちらの演奏もソナタ同様に素晴らしい。最後のパラディスのシシリアーノ、良く聴くメロディーですが、どこで聴いたのかしらむ???、どうしても思い出せません(笑)、では。