【完売御礼】 第722回 定期演奏会
2024/07/20(土)18:00/Sat. 20th Jul. 2024, 18:00
サントリーホール
指揮:ジョナサン・ノット
Conductor = Jonathan Nott
ラヴェル:クープランの墓(管弦楽版)
ブルックナー:交響曲 第7番 ホ長調 WAB 107

 

ラヴェルのクープランの墓はコンサートで触れる機会が、マ・メール・ロワと並んで意外に多いですが、両曲共に、ああそうですか、という綺麗なだけの演奏が多いのも事実。特にクープランの墓はひとえにセンスが大事で、音を厚くすると台無しになるので難しい曲です。ノットの演奏は洒落たものという訳ではないですが、センスはあってオケも2曲目以降は良く反応していたと思います。この曲は録音では良いものが、往年の演奏中心にありますが、クリヴィヌあたりで、ハッとする演奏を聴きたいものです。

 

ブルックナーの交響曲7番は以前にもこのコンビで演奏したことがあり、それは未聴だったので今回は楽しみにしていました。ノットのブルックナー演奏の長所と短所がくっきりと出た演奏だったと思います。ノットのブックナーは(前任のスダーンもそうでしたが)、楽章を大きなアーチでは捉えきれていないきらいがあり、ブロックの積み重ねの面白さにより聴かせる傾向があるように感じています。このスタイルは初期交響曲や第6番などで成功するケースが多く、ノットも第1番や第3番の演奏はかなり良かったのですが、(世間では賛辞も多いですが)8番、9番あたりになると、曲の巨大さを感じるというよりは、それぞれでの箇所での処理や解釈を楽しむというもので、感動までには至らないように感じられます。今回の7番は第1楽章の冒頭のホルンとチェロの響きが溶け込んで美しく、一本の意志が明確にありました。テンポは第1楽章、そして特に第2楽章がかなりスローテンポ、第3楽章は平均的で、第4楽章はむしろ速めになっていたかと思います。第1楽章はコーダでの強烈なティンパニーのクレッシェンドが印象的、これは明らかに意図的に他の楽器に被ってでも演奏させたもので賛否は分かれると思いますが、私はおっと思い色々と考えさせられました。弦もホルンも素晴らしいもののTpがイマイチなのが残念(これは第3楽章の簡単なフレーズでも同様で如何なものか)。第2楽章は深い思いなのだろうとは思うものの、テンポがあまりに遅く若干弛緩した場所もあり、そしてノヴァーク版の特徴であるシンバルが盛大に奏されました。第3楽章はTpを除き充実、第4楽章の推進力も十分、パウゼは意外なほどしっかりと取っていました。しかし終結部が一寸あっさりし過ぎるか、惜しいと思わされました。全体としては、感動するというよりは、こうするのか、意外に正攻法との印象が交錯した演奏だったと思います。おそらくノット・東響のブルックナーは残り6番ではないかと。来シーズンが音楽監督としては最終なので、そこで採り上げて簡潔させて貰いたいものです、では。