【日時】    2024年07月13日 (土) 13:30 開場 / 14:00 開演
【会場】    東京オペラシティ コンサートホール
【出演】    ペトル・ポペルカ(首席指揮者・芸術監督)
プラハ放送交響楽団(管弦楽)
佐藤晴真(チェロ)
【曲目】    

ドヴォルザーク: チェロ協奏曲 ロ短調 作品104

アンコール 鳥の歌
スメタナ: 連作交響詩「わが祖国」より
        ヴィシェフラド
        シャールカ
        ボヘミアの森と草原から
        ターボル
        ブラニーク

アンコール   モルダウ
【入場料】    S¥18,000 A¥16,000 B¥13,000 C¥10,000 D¥売切れ

 

評判のポペルカが手兵のプラハ放送響を指揮して我が祖国を演奏するということで、土曜日公演ということもあり、早くからチケットを購入していました。前半にドヴォコンが置かれたので、何故かモルダウ(ヴァルダヴァ)がカットされたプログラムでしたが、これはアンコールで演奏するなと当初から予想していました。かくしてその通りになったのですが、そう考えると結構ヘビーなプログラムということになりますね。

 

少し前に我が祖国全曲を高崎でも演奏していたそうですが、これがポペルカの細かい伸縮のあるフレーズコントロールが行き届いていたのと、プラハ放送響がルーティンにならず、かなり力の入った熱い演奏になり大変感動することになりました。プラハ放送響自体は、ローカルオケの音はしますが、芯があるので決して薄くはなく、弦のアンサンブルは緻密ではないものの、フレーズの合わせなどは各パートが確り歩調を合わせるところなど実力は相応と言って良いでしょう。

 

総合点ではシャールカ、ボヘミアの森と草原から、が圧倒的に素晴らしい、シャールカの魔女?が寝ている男どもも皆殺しにする話ですが、クラリネットソロがこれくらいねちっこくやらないと面白くないですし、ポペルカの煽りも効果的。一方ボヘミアの森と草原からは、中間部のある程度スピードを出してキレあるように演奏しがちなところをレガートで繋ぐ解釈がかなり面白く聴けました。高い城もポペルカらしい呼吸感たっぷりの演奏でしたが、この曲だけは、曲全体を大きなアーチで包み込むように演奏しないと、曲想の大きさが出ないのは仕方ないところ。この辺りは、クーベリック、アンチェル、ノイマン、コシュラーが上手いですし、近年ではビシュコフの演奏が際立っていました。ターボルとブラニークは、予備知識がないと繰り返しが多く感じてしまうこともありますが、ポペルカの細かい指示とそれに応えるオケの反応が素晴らしく、ブラニークの最終部分で、もう一度高い城のテーマが流れるところは、結構感じるところがありました。

 

アンコールはモルダウ、会場からやっぱり、だったら最初から入れれば、的なクスっとした笑いが演奏冒頭に会場を包んだのはご愛嬌、こちらもルーティンにならず、まあポルカの部分のスポルツァンド・フォルテを明確に演ってくれたところは拍手、結構やならない指揮者が多いんですよね。

 

前半は佐藤晴真のチェロでドヴォコン、こちらもポペルカの指揮をどうしても聴いてしまいましたが、やはり音楽的なフレーズ処理と丁寧な音の処理が素晴らしい。佐藤のソロは若干音が上ずるところがありましたが、意欲あるもの。佐藤については、ソロリサイタルで感銘を受けることが多く、コンチェルトではやや音量が足りないような印象があるのですが、皆さんはどういう印象でしょうか。アンコールは鳥の歌、最近はこの曲ばかり弾いているようですね。

 

それにしてもポペルカの資質の高さを改めて感じた次第、来年はN響定期に登場(ヤナーチェク、ツェムリンスキーのシンフォニエッタ、モーツァルトやシューマンの交響曲第1番)も楽しみです。ウィーン響の首席指揮者就任も決まったので、2026年位にはジャパンアーツ招聘で来日公演もあるのではないでしょうか、では。