2024/6/29 (土) 14:00開演

会場:東京オペラシティ コンサートホール

第371回定期演奏会


指揮:鈴木 秀美
ピアノ:小山 実稚恵 

Hidemi Suzuki, Conductor
Michie Koyama, Piano

 

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527 序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37
シューベルト:交響曲第8番 ハ長調 D944「ザ・グレート」

W.A.Mozart: Don Giovanni, K.527 Overture
L.v.Beethoven: Piano Concerto No.3 in C minior, Op.37
F.Schubert: Symphony No.8 in C Major, D.944, "The Great"

 

如何にも鈴木秀美らしい、アタックの強い、しかしリピート部分は単純に前の繰り返しでなく、表情を変える工夫など、長所が随所に目立った演奏。兄の雅明も、BCJではそこまで尖らない、寧ろ欧州のピリオド奏法に比べるとおとなしい位なのに、モダンオケになると、攻撃的とも言える解釈になるのは面白いところです。秀美はピリオド楽器のハイドンなどでも同様ですが。TpはバロックTp、ティンパニも時代物、正確かどうか分かりませんが、恐らく弦楽器はガット弦が多かったのではないかと(明らかに響きがいつもと違う)。

 

ドン・ジョヴァンニ、オケが良く鳴り気持ちが良いですが、あの終結部はもっとあっさり演奏しても良かったでは?折角のそこまでの演奏の魅力が減じてします気がします。小山実稚恵、シティフィルは伊福部以来でしょうか、あの時の大柄の立派な演奏には大いに感心しました。今回も同様に若手にはない大きな演奏、冒頭しばらくタッチが安定せず心配しましたが、途中で立て直し、緩徐楽章の美しさ、また第3楽章の大きさは往年の巨匠たちの演奏も想起させました。小山はタッチのオンオフにそこまで種類がないので、曲によっては単調に聞こえてしまうことがありますが、ベートーヴェンやシューマンなどは相性が良いのだと思います。アンコールは即興曲から第3番。ショパンコンクールの頃からのあの笑顔は今も健在でした。

 

シューベルトのグレイト、全てのリピートを行ったではないでしょうか、上記の通り激しい演奏ながらフォルムもしっかりして、良い意味で安心して音楽に心をゆだねることができました。冒頭のテーマから主題に入るまでは、意外にテンポが中庸でしたが、第1主題からはかなりのテンポアップ、この解釈にはこのテンポが合うでしょう。最後までテンションが保たれ、オケも終演時はかなりの疲労感が表情に出ていましたが、それもあれだけの熱演出あればむべなるかな。14時開演でしたが、終わってみれば16時20分で少し驚きました。いつも同じようなスタイルだと食傷気味になりますが、鈴木秀美は定期的にシティフィルに招聘して貰いたいものです、では。