神田愛山 芸道50周年記念三夜連続独演会

内幸町ホール

2024年6月5日(水)18:30  田辺いちか、柳家三三、神田愛山

長短槍試合 田辺いちか
太田蜀山人 神田愛山
仲入り
締め込み 柳家三三
私小説掌編集ベラ 神田愛山

 

2024年6月6日(木)18:30  田辺いちか、柳家喬太郎、神田愛山

山内一豊と千代 田辺いちか
清水次郎長伝 飯田の焼き討ち 神田愛山
仲入り
銭湯の節 柳家喬太郎
赤穂義士銘々伝 大高源吾 神田愛山

 

神田愛山芸道50周年記念公演、国宝ならぬ秘宝の愛山先生、小生もその一人ですが、この数年で着実に熱心なファンが増えて、内幸町ホール(200名弱?)で3夜連続の独演会が開くことに繋がった、先ずはめでたし。内幸町ホールは初めて行ったのですが、新橋駅から徒歩5分で行きやすいし、イスもそれほど狭くなく、キャパ的にも講談・落語会にも合うホールですね。

 

初日の盟友鯉昇は行けなかったのですが、第2夜、第3夜は会社はシフト勤務にて万全の態勢で会に行きました(笑)。全日前講は田辺いちか、一門でもないし協会も違うのですが、らくごカフェでの昼の茶会の常連であり、ネタも教わっているよう。二つ目ですが、女流講談師では一番好きかもしれません。思いっきりのよさもあるし、芸に媚びがなく、わざとだと思いますが、目が少しいっている時があり、これが何とも言えない迫力に。両日共に有名な話ですが、何とも爽やかな風と共に聴き応えがありました。

 

ゲストは三三と喬太郎という人気者。三三はどのような繋がりなのでしょうね、喬太郎は昔から二人会を開いていますし、ネタもいくつか伝承しています。三三の締め込み、嫁の平場の言い立てのようなたたみ込み、これがあるからこのネタを選んだのかしらむ、が素晴らしい、最近の三三では一番かも。寄席の15分ではなく、独演会に行きたくなりました。喬太郎は末廣亭の主任なのに休演してこちらに出演、それだけ繋がりも強い(後が怖い?)ということでしょうか。まくらは少し上滑っているようにも思われましたが、まあ外さない喬太郎、浪花節が満載の新作・銭湯の節を披露してくれました。コロナで暫く止まっている愛山・喬太郎二人会もまた復活するとのことで、こちらも楽しみです。

 

さて愛山は2日間で4席、快心の出来栄えは、大高源吾でした。口跡も良く、それぞれの登場人物の描き分け、立て板の句、これが良く理解できる。そして其角・子葉各々の別れドラマ、想いが強く伝わってきました。初日の太田蜀山人も狂歌がベースのネタですが、ここでも読み上げのフォルムが素晴らしい、初めて聞く狂歌もこちらに入ってくるのがスゴイ。初日の私小説ベラは、実話に基づく野良猫との交流とこちらも別れ、少し後に引きずる思いが残ります。そしてお得意清水の次郎長伝からは飯田の焼き討ち、啖呵のキレは良かったのですが、いつもに比べて一寸流れが自然ではなかったかもしれません。

 

いやはや、2日間ですが、充実の会でありました。2日目の大高源吾はこれからも暫く心に残りそうです、では。