第721回 定期演奏会
2024年6月15日(土)18:00開演(17:30開場)
サントリーホール
指揮=ドミトリー・マトヴィエンコ

ラヴェル:道化師の朝の歌(管弦楽版)―鏡より
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)

(ピアノ:高橋優介)

 

ベラルーシ(ロシア)の若手指揮者、マトヴィエンコ、30歳ちょっととのことですが、東響はロウヴァリ、ヴィオッティ、ポペルカなど若手の目利きは実証済。今回のマトヴィエンコもなかなかの才気溢れる指揮者でした。

 

ラヴェルの道化師の朝の歌は、妙にまとめると一寸した小品で終わってしまいますが、少しやりすぎぐらいのリズムと揺らぎがあると何とも言えない名曲に生まれ変わります。マトヴィエンコは直線的でありながら、跳ねるリズム、東響の管楽器のソロも比較的自由に演奏させて上手い表現となっていました。マ・メール・ロワは曲想からすると若手指揮者には難曲と思われるものの、オケの潜在力を上手く引き出した美しい演奏でありました。

 

後半はペトルーシュカ、先日デュトワ・新日で2日間ペトルーシュカ(1911年原典版)を聴きましたが、続くときは続きますね。こちらは1947年版、ストラヴィンスキーが収入確保、つまり著作権確保のため、編成や一部編曲して出版したもので、他にも火の鳥など色々ありますが、この1947年版は3管編成(1911年版は4管編成)ながら、そこはストラヴィンスキー、Tpの鮮やかさをより際立たせることで、違う意味を与えています。只、何の前提知識がなければ、違いが分かるかどうか笑。デュトワのような熟練さはないものの、闊達で才気あふれるもの、またTpソロが上手い、東響はTpが弱点でしたが、良い首席を得てくれて嬉しいです。

 

マトヴィエンコはウクライナ紛争の影響で自分が日本で受け入れられるのか、かなり心配していたとのことですが、その点は杞憂であったことは良く理解してくれたみたいです。それにしても、才能ある若者を見聴きすると嬉しくなりますね(私も歳をとったのか(笑)、では。