2024/5/24(金)19:00開演 18:30開場 TOPPAN HALL
〈歌曲(リート)の森〉~詩と音楽 Gedichte und Musik~ 第30篇
クリストフ・プレガルディエン(テノール)&ミヒャエル・ゲース(ピアノ)
リーダー・アーベント

 

クリストフ・プレガルディエン(テノール)
ミヒャエル・ゲース(ピアノ)

 

J.S.バッハ:甘き死よ、来たれ BWV478
マーラー:《子供の不思議な角笛》より〈原光〉
シューベルト:白鳥の歌 D744
シューマン:《12の詩》より〈愛と喜びよ、消え去れ〉Op.35-2
シューベルト:消滅 D807
モーツァルト:ラウラに寄せる夕べの想い K523
ブラームス:《6つのリート》より〈野の寂しさ〉Op.86-2
ブラームス:《プラーテンとダウマーによるリートと歌》より〈夜更けて、私は起き上がり〉Op.32-1
レーヴェ:《3つのバラード》より〈エドヴァルト〉Op.1-1


ヴォルフ:《メーリケ詩集》より〈それを思え、おお魂よ〉
シューベルト:若者と死 D545
シューベルト:死と乙女 D531
ヴォルフ:《ゲーテ歌曲集》より〈アナクレオンの墓〉
ヴォルフ:《アイヒェンドルフ歌曲集》より〈セレナード〉
メンデルスゾーン:《6つの歌》より〈新しい恋〉Op.19-4
レーヴェ:《3つのバラード》より〈魔王〉Op.1-3
ヴォルフ:《スペイン歌曲集》(世俗篇)より〈いつの日か、わが想いは〉
シューベルト:《白鳥の歌》より〈兵士の予感〉D957-2
マーラー:《子供の不思議な角笛》より〈死んだ鼓手〉

(アンコール)

マーラー《リュッケルトの詩による5つの歌曲》より〈私はこの世に捨てられて〉

ブラームス《49のドイツ民謡集》より〈お姉さん、私たちはいつお家に帰るの〉

シューベルト小人 D771

 

いつもテーマがあり、ドラマとしてリサイタルを構成する父プルガルティエン、今回のトッパンホールでは2夜に渡ってリサイタルが開催されましたが、第2夜の死をテーマにした方を聴いてきました。

 

既にほぼ同様の内容録音が2008年前後にリリースされているので、相当歌い込んできたプログラムと思われます。声そのものやディクションの正確さは最盛期を過ぎたものの、ドラマとしての歌唱はホールの空気を支配、また見やすい対訳があり、そのドラマの体感に役立ちました。特に前半は一曲一曲の中身が濃く、あちらの世界に引き込まれてしまいそう(笑)。またゲースのピアノが繊細で且つ雄弁、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、小生は大いに推薦です。

 

全体の流れが良かったのですが、個別曲では、前半ではマーラーの原光、モーツァルトの夕べの想い(何と繊細な転調の連続!)、ブラームスの野の寂しさ、レーガーのエドヴァルト(父親殺しをめぐる母と息子の対話!)が秀逸、後半はメンデルスゾーンの新しい恋(ピアノが真夏の夜の夢の世界)、レーヴェの魔王(シューベルトと同路線ながら極めてドラマティックで個性的)、マーラーの死んだ鼓手が素晴らしい。あれっ?シューベルトは?笑。不思議とシューベルト以外の曲がしっくりきました。シューベルトはかなりの程度声自体に求めるものが多いのかもしれませんね。

 

アンコールは3曲、聴衆も好きな方が集まっておられ静寂も素晴らしい。息子プルガルティエンは長らく聴いていません、またトッパンで呼んでくれないかな?では。