東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.11
ブルックナー《ミサ曲第3番》
生誕200年に寄せて

 

2024年4月13日 [土] 14:00開演(13:00開場)
東京文化会館 大ホール
出演
指揮:ローター・ケーニヒス
ソプラノ:ハンナ=エリーザベト・ミュラー
メゾ・ソプラノ:オッカ・フォン・デア・ダメラウ
テノール:ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー
バス:アイン・アンガー
管弦楽:東京都交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩

 

ワーグナー:ジークフリート牧歌 
ブルックナー:ミサ曲 第3番 ヘ短調 WAB28

 

ブルックナーのアニバーサリーイヤーでもミサ曲が定期演奏会などで採り上げているところはないのでは?今年の東京春の音楽祭は好調に進んでいますが、ミサ曲第3番をラインナップに入れたのは流石。第1番、第2番は聖堂でのミサでの演奏を想定されていて、特に第1番は存命中から評判の高い曲でしたが、第3番は協会ではないコンサートでの演奏を想定された作品で、規模からして全く異なります。この曲も晩年まで改訂の対象になったようですが、出版譜はある程度統一されているらしいですね。

 

ケー二ヒスは初めて聞く指揮者ですが、少年時代から合唱団に入っていて実際にブルックナーのミサ曲は3曲共に歌う機会が多かったそうです。指揮は手堅い職人の仕事でなんか訴えるもの云々はないですが、素直に音楽を聞かせてくれました。この曲は第2曲グロリアと第3曲クレドが聞かせどころ、オペラシンガーズの声が良く通り良い歌唱。ソリストも実力者を揃えたものの、物足りなさも。期待のアンガーも一寸粗い、ヴォルフシュタイナーはクレドでの歌唱は健闘、エリザベート=ミュラーは声量はあるもののヴィブラートが不自然、ダメラフは昨年のルイージの千人の交響曲では良い歌唱でしたが、この日は不調、声が出ていないのが残念。

 

ケーニヒスの律儀な指揮と都響の水準高い演奏、オペラシンガーズの真摯な歌唱で、前回はブロムシュテットN響で聴いたこの曲の良さを改めて感じた次第です。尚、前半のジークフリート牧歌は疲れていたのか撃沈してしまいました(恥)、では。