2024年3月16日(土)14時開演

すみだクラシックへの扉 #21
すみだトリフォニーホール 大ホール

 

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 op.15
Beethoven:piano Concerto No. 1 in C Major, op.15

アンコール

ヘンデル 組曲第1番よりメヌエット
シューベルト:交響曲第8番 ハ長調 D944「グレイト」
Schubert:Symphony No. 8 in C Major, D. 944, "Great"

 

ケフェレックの品のあるピアニズムは健在、打点も明確でさわやかな気分に。曲もモーツァルトだと当たり前過ぎて、ベートーヴェンの1番、2番あたりでその美質が際立つかと。シューマンなども一度聴いてみたいものです。アンコールはお得意のヘンデルのメヌエット。この曲はケンプが得意にしていた曲で、ケンプはもっと速いテンポで、私もそちらに慣れてしまっていますが、じっくりと弾き込むやり方も珠には良い物です。

 

後半はグレイト。上岡らしいレガートと楽器の入りをこれでもかと明確にした演奏で、失敗すると曲がバラバラになる時もありますが、この日は面白味と少しの弛緩が混在していたかと。上岡・新日フィルでは、ベートーヴェンの7番の名演が記憶に残っていますが、そこではレガートで歌い込む箇所とリズムのバランス・対比が見事でした。この日のグレイトは第1楽章はホルンがもうちょっとしっかりして欲しいところ、第2楽章からエンジンがかかり、第3楽章の躍動も素晴らしい、第4楽章が楽器間バランスをとりながら上岡節が全開、特に最終部の弦のユニゾンの鳴らせ方はジュリーニぽくもありました。最後は例のディミヌエンド、自筆譜の強調なのかディミヌエンドかで論争がある部分で、アーノンクールや一時は朝比奈もこれを採用してましたが、これはシューベルトの癖のある書き方でやはり強調記号として捉えるのが音楽的にも自然に感じるのですが、如何? 色々と考えさせられる演奏でした。

 

この日は鑑賞教室だと思われますが、中学生が制服で何十人かいましたが、帰り際にグレイトが同じメロディーの繰り返しで長すぎると言っていました、ハハハ素直で良く判っているじゃないか、でも音楽を嫌いにならないでね、では。