【完売御礼】第368回定期演奏会

2024/3/8 (金) 19:00開演 [18:15開場]

会場:東京オペラシティ コンサートホール


指 揮:高関 健(常任指揮者) 

Ken Takaseki, Principal Conductor

 

シベリウス:交響詩「タピオラ」 作品112
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
J.Sibelius: Tapiola, Op.112
G.Mahler: Symphony No.5 in C-Sharp minor

 

シティフィル、シーズン最後はマーラーの5番がメイン。毎年気合の入った演目が並ぶので楽しみです。最初はシベリウス最後の大規模作品タピオラ、カラヤンの録音を良く聴いていた時期がありましたが、実演では恐らくはじめて。森の神タピオが住む土地を表現したタピオラ、高関らしい確りと仕事が施された演奏で、所謂北欧の空気感で聴かせる演奏とは一線を画したもの。実はカラヤンのシベリウス演奏(アンチも認める名演が多い)も、ある意味かなり個性的で曲の構造が明晰で聴こえるべきものが確りと聴こえるという意味では同一路線。シティフィルの弦の響きが充実。好みが分かれると思いますが、大いに気に入りました。

 

今回完売御礼でしたが、マーラー5番という人気曲+近年の高関シティフィルの評判向上という相乗効果からでしょうか。演奏はシティフィルのプラス、マイナスが両面出た演奏でした。プラス面はやはり熱量、火の玉演奏というか、メンバーの真摯な演奏姿勢に打たれるものがありました。また、楽譜はラインホルト・クビーク校訂の2002年版を既存のぺータース版に反映させたものとのこと。ハープ2台となっていることが編成上の大きな特徴(第4楽章で効果抜群)、その他はダイナミクスやアーティキュレーションの変更が主たるもののよう。第1楽章葬送行進曲での、ある意味ブツ切りのボーイングはこのアーティキュレーションの変更を反映したものだったのでしょう。少し違和感あったものの新鮮でもありました。この変更と高関の分析力が最大限に効果を上げたのが第2楽章、これだけ各楽器のやりとりが明瞭になった演奏はなかなかないもので聴き応えありました。冒頭のTpソロ確りと吹いていましたね(何気ないところでのミスは勿体なかったが・・・)、トロンボーンソロも力感あり。第3楽章のHr谷のオブリガートは指揮者横での演奏、ラトルもどのようの対応を行っていましたが、最近の楽譜ではそのような指示があるということなのでしょうか。谷は最初1音だけ外した時に、しまったという態度が出たのは余計でしたが、その他はかなり立派な演奏でした、前方席の人は大変だったのでは?第4楽章はテンポは速め、弦は艶よりも弾き込む感じの演奏、第5楽章は整理されつつも、かなり鳴らせて解放感ありました。

 

マイナス面は多くはないのですが、金管の一部、特にホルン群のトゥッティはもう少しまとまりが・・・、谷以外の弱さはどうしても気になります。。。。またチェロ首席の長明が3月末で退団とのこと、シティフィルのチェロパートの熱さは売りの一つ、しかし長明もここのところやや力感が減退しているように感じられたのですが、痩せているようでもあり体調に問題があるのでしょうか。チェロパートは良い仕事をしているのですが、トップ3人ほどが引っ張る感が強く、今後どうなっていくのかが少し心配でもあります。とは言え、シーズンを締めくくるこの日のコンサート、聴き応えは十分にありました、では。