第992回定期演奏会Bシリーズ
日時:2024年1月18日(木) 19:00開演(18:00開場)
場所:サントリーホール

指揮/ジョン・アダムズ
弦楽四重奏/エスメ弦楽四重奏団*

 

ジョン・アダムズ:アイ・スティル・ダンス(2019)[日本初演]    
ジョン・アダムズ:アブソリュート・ジェスト(2011)*    

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調より 第2楽章
ジョン・アダムズ:ハルモニーレーレ(1984-85)

 

正直に言えば、あまり期待していなかったコンサートでしたが、大いなるポジティブサプライズとなりました。ジョン・アダムスはベルリンフィルレーベルでも数枚組のアルバムが制作され、ラトルはじめ多くの指揮者が演奏していましたし」、またノンサッチでも40数枚組のアルバムがありましたね。過去日本ではデ・ワールトや下野がN響や読響でハルモニーレーレなどを演奏していましたが未聴、今回都響B定期会員で作曲家自身の指揮で聴く機会が訪れました。

 

アイ・スティル・ダンスはマイケル・ティルソン・トーマスのダンサーの旦那との会話からタイトルをとった軽快かつオケには相当負担のかかる作品。2019年の作品ですが、アダムスの作品のDNAというか匂いがしっかりとある作品。次が弦楽四重奏曲とオケのための、アブソリュート・ジェスト、日本語では徹底的なおふざけ。弦楽四重奏曲13番、16番などベートーヴェンの作品をモチーフにした作品で、これが面白い。1階中央エリアなので、ソロとオケのバランスも良く、スリリング、アイロニー、技巧、そして効果的なベートーヴェンのモチーフ。若いエスメ弦楽四重奏団のアグレッシブな演奏も爽快でした。

 

そして管弦楽曲の代表作品であるハルモニーレーレ、1980年代の作品。例の中国のニクソンなどの後に書かれた作品で、ミニマル、オスティナート、どこかメロディカルなフレーズが組み合わされた作品、長大な逆アーチの第1楽章、陰鬱で諦念も漂う第2楽章(アルフォンタスの傷)、そして軽やかで技巧的な第3楽章(マイスター・エックハルトとクエッキー)。40分ほどの作品でしたが、集中して聴くことができました。録音でもそれなりに面白く聴ける作品ですが、最近好調な都響の高いレベルの演奏ともあり、コンサートで聴く方が良いなと感じました。

 

非常にジェントルな人柄、如何にも西海岸の良識ある民主党支持者という(勝手な)印象で、もう70代半ばとのことですが、聴衆の反応も熱狂的で満足の表情でした。また、大御所で80代になって日本に定住したテリー・ライリーも聴きにきていました、では。

 

 

(テリー・ライリーと)