2023年11月30日(木)19時開演

プッチーニ/歌劇『トスカ』(演奏会形式)
指揮:高関 健
トスカ:木下美穂子
カヴァラドッシ:小原啓楼
スカルピア:上江隼人
アンジェロッティ:妻屋秀和
堂主:晴 雅彦
シャルローネ、看守:大塚博章
スポレッタ:高柳 圭

合唱:東京シティ・フィル・コーア
合唱指揮:藤丸崇浩
児童合唱、羊飼い:江東少年少女合唱団
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 

トスカの演奏会形式での上演とは珍しいかも。財政の厳しいシティフィルがここまでやるのは大変なのでしょうね、気合を感じます。最終的にはソールドアウトとなったとのことで良かったです。

 

中央は簡易な舞台があり、譜面台が並べられており、歌手が入れ替わりで簡単な演技で歌い、完全ではないものの、オケが舞台の左右に分かれて演奏。高関のきっちりと仕事をする指揮はオケを聴かせる意味で良い面も多かったものの、真面目過ぎる面もあり、呼吸感という意味でのドライブはオペラを楽しむためには、もう少し欲しいところ。高関の意図は定期公演で、オケが奏でる音楽を正面からキッチリと聞かせたいというものだったので、高関の意志は十分に伝わってきました。

 

歌手は、失礼ながら、予想外に立派な歌唱。木下美穂子はかなり以前に聴いて、少し喉の奥で歌っているように感じて感心しなかったのですが、この日のトスカは素晴らしい。フォルテも絶叫にならずにフォルムがしっかりとしていました。完全に役を手中にしており、良い意味で安心して聴くことができました。カヴァドラッシの小原、おそらく初めて聴くのですが、一寸鼻につくところはあるものの、熱量があり、第3幕のトスカとの二重唱などは聴き応えもあり。但し、中音が響かないきらいがあり。熱血的な役処が合うということかと。実力者上江は堂々たる歌唱。バリトンで日本人ではプリモとして主役を張れる人で、押し出しも十分。スカルピアの厭らしさを押し出した歌唱で、人によってはもっと気品を求めるかもしれませんが、小生にとっては十二分に楽しめた歌唱でした。妻屋、晴、大塚は良い仕事、スポレッタの高柳の声量が著しくないので、一人だけ浮いていたのは残念。どうしてキャスティングしたのでしょう? では。