2022年12月6日(火)11:00開演 歌舞伎座
一、鞘當(さやあて)
不破伴左衛門 |
松 緑 |
13代目團十郎白猿、8代目新之助襲名披露です。午前の部は鞘當から。先月の矢の根が良かった幸四郎、どうもこの手の役は型にはまり過ぎ、松緑も10月の荒川十太夫の評判が対応良かったですが、口跡の不器用さが前面に出てしまって楽しめない。最後に喧嘩を治める役として色々あった中車が登場、澤瀉屋の大向こうからの声に拍手は盛大でした。まあ20分ほどだから良いけど。
二、京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)語
鐘供養より『
歌舞伎十八番の内
押戻し』まで
大館左馬五郎 |
海老蔵改め團十郎 |
打って変わって二人娘道成寺、成田屋の襲名披露なので、歌舞伎十八番の押戻しまで。菊之助、勘九郎の白拍子花子の踊りが上手い、個性が全く違う二人ながら、その対比が面白いこと。余計な動きは排し踊りとして確りと決める音羽屋、舞踊としての外連味も出しながら要所を締める中村屋、楽しい!そして團十郎の登場、出番は短いのですが、台詞に菊之助・勘九郎を入れて会場を沸かせた後で災難除けのおめでたい演目として締めてくれました。
三、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)
八代目
市川新之助初舞台相勤め申し候
粂寺弾正 |
初舞台新之助 |
そして8代目新之助が9歳で毛抜きの主演ということで、無謀だとか様々な前評判がありましたが、単に頑張る子供ではなく、立派に舞台を見せていました。この年齢でこれだけ声が出て、型が確りしていて、何よりも華がある。様々な名門の年少の役者を観てきましたが、この存在感・華は染五郎と新之助だけ、奇しくも歌舞伎界きっての名門、高麗屋と成田屋の御曹司なのだから伝統というかDNAは恐ろしい(笑)。
新之助の粂川弾正、台詞が全て明瞭、これってなかなかないもの。姿勢が良いし、前髪や腰元へのくどきの場面、袖にされた場面でのおかしみで会場大爆笑。清々しい舞台で観に行って良かったと心から思える公演でした。ここからは背が伸びて、声変わりを上手く乗り越えて是非20歳前後での海老蔵襲名に向けて精進して貰いたいものです、では。
(追記)
12月11日(日)、前日に何気なくチケット松竹をチェックすると1階中央の良席が1席だけ空席表示、思わず押下して高額チケットを購入してしまいました。この日は鞘当の仲介は猿之助、変わらず松緑はこの役はいかんなと確認。押戻しは白拍子の菊之助と勘九郎の踊りが見応え十分、1階席は流石に迫力満点。そして毛抜、ミーハーっぽいですが、新之助は華がある、声が良い、1時間全く飽きることがなく魅せる役者、色々とケチをつける人はいても、その点は否定できないでしょう。寿ぐ舞台なのですから、正に鷹揚のご見物を、というところですね。