第692回 定期演奏会
2021/07/17(土)18:00/Sat. 17th July 2021, 6:00 p.m.
サントリーホール
指揮:ジョナサン・ノット
チェロ:伊藤文嗣
ヴィオラ:青木篤子
Conductor : Jonathan Nott
Cello : Fumitsugu Ito
Viola : Atsuko Aoki
R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」 op.35
シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82

R.Strauss : Don Quixote op.35
Sibelius : Symphony No.5 in E-flat major op.82

 

この交響詩ドン・キホーテは各変奏がどの場面なのか理解していないと魅力が半減するので、字幕でそれを示せばかなり効果的だと思うのですが。今日のソロは主席の伊藤と青木。両人ともにソリスティックではなく、物語の出演者と言った演奏、特に伊藤のチェロは響きも立派でした。ノットのシュトラウスでは就任前のアルプス交響曲の超名演がいつまでも記憶に残っていますが、今日の演奏は音のうねりはあるが、ゴージャスサウンドは敢えて抑えていた

、というよりそういう趣味の音楽ではないということだと思いますが、ものでした。第2ヴァイオリンが雄弁だし、コンマス水谷氏のリードが素晴らしい。この曲は第3変奏位までと最後ばったりの場面が大好きで上手く出来ているな~、といつも感心するのですが、今日もこの部分で爽やかな感動がありました。Tpのトップが音の入りが明確でなく音程も??で若干興醒めだったのが残念でした。

 

後半はシベリウスの5番。今日のプログラミングはパンフレットにもその意図について言及はありませんでしたが、どういう意図だったのでしょうか。このシベリウスの演奏は残念ながら違和感がありました。オケはここでもTpトップに違和感、それ以外は前半と同様真摯な演奏でしたが、ノットの解釈はシベリウスではどうやら通じないようでありました。聞こえてくべき管楽器のフレーズが埋もれてしまったり(といって別のパートが浮き上がることもなし)、ノットの長所である呼吸感あるうねりがシベリウスの世界とは変な化学反応を起こして素直に聞くことができませんでした。終結部のティンパニーが主導する部分は気持ち良く決まっていたのは良かったです。ニコニコ動画での配信録画を自宅でも確認しましたが、今日の印象はドン・キホーテ、シベ5共に変わらず。その日の演奏が検証できるのは良いですね(しかも東響は一定期間無料)。他のオケも有料配信に力を入れていますが、3000円とかそんな値段じゃ継続しないでしょうね。単独で観る人は1000円、定期会員には3000円で年間パスポート、寄付者には無料などの工夫をすれば、上手く運営できるのではないかと思います、では。