第689回 定期演奏会 ~原田慶太楼 東京交響楽団 正指揮者就任記念コンサート~
2021/04/17(土)18:00/Sat. 17th April 2021, 6:00p.m.
サントリーホール
指揮:原田慶太楼
ヴァイオリン:服部百音
Conductor : Keitaro Harada
Violin : Mone Hattori

ティケリ:ブルーシェイズ
バーンスタイン:セレナード

エルンスト編曲 シューベルト魔王
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 op.93

 

シティフィルの公演が終わり急いでサントリーホールへ。半蔵門で永田町に出て南北線で六本木一丁目へ。何も考えずに選択しましたが、これが最短だったのかしらむ。

 

最近は日本オケメンバーの世代交代が進み、圧倒的に良い方向の結果が出ています。腰を下ろしたベテラン、かつては素晴らしかったが、という首席奏者に退場頂くのは難しいのでしょうね。会社も同じ、若い人に任せてみた方が良い結果となるケースが大半。話が逸れましたが、昨年のコロナ禍以降、20~30代の若手指揮者がメジャーの定演などで登用されるケースが増え正に千載一遇のチャンス。熊倉、太田、沖澤そして原田というところが目立ちます。原田は米国サヴァンナフィルの芸術・音楽監督のポストを得ているので少し立場が違うかもしれませんが。こういうチャンスを自分の運で引き寄せられないと今後はないでしょう。80歳前後の立派な指揮者がいて小生も大いに支持する人もいますが、将来のことを想えば、若手指揮者の台頭を待望しています。とは言え、上記の指揮者のコンサート、めぐり合わせが悪く全然聞けていませんでしたが、今年は自分との相性を探る意味でも、意図的に彼らのコンサートを優先して聴きに行こうと思います。

 

その第一弾ではないですが、原田慶太郎の東響正指揮者就任記念の定期演奏会に。日本で音楽教育を受けず裸一貫で米国に留学し、ミュージカルから初めて、マゼールの内弟子に飛び込みでなったり、憧れのテミルカーノフなどロシア指揮者の姿を追いかけてロシアで勉強したり行動力抜群の人です。ある種図々しい性格(笑)なのでしょうが、ひょろっとした音大出の指揮者とはストレス耐性が違うのでしょうね。

 

今日は米国2曲とロシア1曲のプログラム。前半のディケリ、ブラバンの世界では有名な作曲家だそうですが、ブラバン出身の小生は知りませんでした。ジャジーな楽しい曲、ヌヴーのクロラリネットの洒落たソロもあり面白い曲でした。2曲目のバーンスタインのセレナード、名前と違って結構噛みしめないと理解できない曲、大昔の五嶋みどりとバーンスタインの伝説の共演がありましたね。ソロは服部百音(もね)、大人の女性になりつつある身姿で、メイクが昔のJALの乗務員というか、山口小夜子っぽい印象。演奏はピンと張り詰めたものがありました。、舞台での会釈なども堅いのですが、それが人柄の真面目さが伝わり好印象。アンコールは超絶技巧のエルンスト編曲の魔王、セレナードの後にこの選曲、恐ろしい(笑)。

 

そしてメインのショス10番、原田の棒に東響が良く反応していました。ホルンの大野の例のテーマの強奏が決まっていましたし、ファゴット、オーボエのソロ、弦楽器のゴリゴリ感なども素晴らしい。第1楽章前半が常識的に進んだのでどるなるかと思いましたが、後半から音が変わってきましたし、第2楽章の猛烈な勢いも粗くはならず一丸となった演奏。第4楽章から第5楽章は例のショスタコテーマ部分なども決まってしましたし、合奏力がノットが指揮した時と遜色なし。強制的な大騒ぎの苦悩や、何かの空恐ろしさなどは微塵もなく、カラっとした演奏でしたが、ここまでやれれば立派なものでしょう。今日の演奏会は十分合格点。古典派やロマン派の演奏をこのままやれば若干嫌な予感もするのですが、それも聞いてみないと分かりませんね。小生が苦手な佐渡、コバケン、広上の押し売り型の情熱、痴呆顔での指揮者に入っていますのではとの懸念が事前にあったのですが、今日のコンサートではキメの場面以外は極めて全うな指揮振りでした。もう一つ苦手な、大友、円光寺などの何のために演奏しているのかわからない感興のない指揮者のカテゴリーでないことも確認できて良かったです。では。