2021/4/21 [水] 18:30開演(17:30開場)
東京文化会館 大ホール
出演
指揮:リッカルド・ムーティ
マクベス(バリトン):ルカ・ミケレッティ
バンコ(バス):リッカルド・ザネッラート
マクベス夫人(ソプラノ):アナスタシア・バルトリ
マクダフ(テノール):芹澤佳通
マルコム(テノール):城 宏憲
侍女(ソプラノ):北原瑠美
管弦楽:東京春祭オーケストラ
合唱:イタリア・オペラ・アカデミー合唱団
合唱指揮:キハラ良尚
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曲目
ヴェルディ:歌劇《マクベス》(全4幕)
[上演時間:約3時間(休憩1回含む)]

 

激烈な超名演、心から震えるヴェルディ、オペラを聴く喜び。なぜムーティだけ?ハルサイ関係だけ入国できるの?との批判はありましたが、実演での成果でそれをあっと言う間に吹き飛ばすほど、近年稀に見る名演奏であったと断言できると思います。悪い意味での民主主義が音楽界で幅を利かせる中で、ムーティという79歳のカリスマが見せつけてくれました。今日の公演を聞けば、どんな批判者も黙るしかないでしょう。

 

ムーティは70年代のEMIでのマクベスの録音が素晴らしく、今でもアバド盤、シノーボリ盤と並べられる3大名盤ですが、日本のプロ若手(主席は本邦オケの首席クラス)の演奏が素晴らしい、ムーティに私淑し全ての指揮棒の動きの反応し、しかも音が活きており、あの響かない東京文化会館で突き抜ける音、それでいて歌手を全く阻害しない。ムーティの解釈は昔から全く変わっていないですが、冒頭からのカンタービレ、鼓動のようなアクセント、呼吸感のある間など最高のパフォーマンス。ムーティのオペラでは、前述のマクベス、スカラ座でのマノン・レスコー、ミュンヘンでのアイーダLIVE、ウィーンフィルとのコジがベスト4ですが、この日のマクベスの名演は一生忘れることはないでしょう。ムーティはシンフォニーの打率は意外に低く、イタオペでも椿姫やドン・カルロば×ですが、このマクベスはこの巨匠のポジティブな面が全て反映された信じがたい名演と言えました。

 

歌手はこの若い歌手が演じるマクベス夫妻が素晴らしい。特に夫人のバルトリは声がしなやか且つ力があり、若い日、60年代のヴァーレットの様で第1幕から全開です。マクベスはミケレッティ、まだデビューして、3,4年のようですが、何と色気のある立ち姿、声は熟していないものの、圧もあり第2幕以降は圧倒的でした。ザッネラートは各地でムーティに重用されるベテランですが、滋味深い深い声でした。マクダフは芹澤、音程が悪し、他にもっといただろうという、この日の数少ない弱点でした。

 

素直に感動した、公演でした。来年は仮面舞踏会、ムーティに録音ありましたっけ?絶対に行くと決めた今日でした、では。