指揮:大野和士(11日・14日・17日・20日)/城谷正博(23日)
演出:ゲッツ・フリードリヒ
美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ
照明:キンモ・ルスケラ

 

ジークムント:(第1幕)村上敏明
ジークムント:(第2幕)秋谷直之
フンディング:長谷川 顯
ヴォータン:ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
ジークリンデ:小林厚子
ブリュンヒルデ:池田香織
フリッカ:藤村実穂子

ゲルヒルデ:佐藤路子
オルトリンデ:増田のり子
ヴァルトラウテ:増田弥生
シュヴェルトライテ:中島郁子
ヘルムヴィーゲ:平井香織
ジークルーネ:小泉詠子
グリムゲルデ:金子美香
ロスヴァイセ:田村由貴絵

 

14日に続いて2回目のワルキューレ。この日は1階席でしたが、流石のお値段だけあって正面から確りと観ると舞台が全体で見えますし、やはり上から見ると立体感がなくなるので、その意味で見応えがありました。

 

但し、歌手・オケ共に14日の方が上演レベルは上でした。第1幕、14日に絶賛した小林ですが、村上の揺れ揺れ、カスレカスレの歌唱に引っ張られたのか、2幕以降のために抑制したのか、声は良いのですが、歌が流れていない印象でした。それをフォローするため大野もテンポを落としたため、オケも勢いがなくなりました。この1幕は流石に×と評価せざるを得ない出来でした。

 

第2幕はやはり藤村実穂子が貫禄の歌唱、日常生活も全て歌唱のために捧げているそうですね。だからこそ上演によるムラがなく、高水準の歌唱を長く続けられるのでしょうね。ラデツキーは演技・表現共に素晴らしい、もう少し声量があれば。池田香織は14日よりも第2幕の歌唱は冒頭の勢いは維持しつつ、中盤のヴォータンとのやりとりは14日以上に声の圧が増して説得力があるものでした。小林厚子は第2幕以降は14日と同様素晴らしい歌唱が戻っていました。第2幕ジークムントの秋谷は音楽が横に全く流れない、昔の悪い日本人歌唱そのもの。語学が全くダメな私がいうのも何ですが、ドイツ語が身体に馴染んていないのでしょうね。大野東響もかなり復調したものの、Tpが14日同様、こけたり、無神経な音入りだったりしていたのが残念。

 

第3幕、ワルキューレ達の演技、英雄たちの遺体を運びながら、それを弄ぶような演出ですが、エロスを出すのであれば、演技が中途半端で残念。ラデツキーは情感あふれる良い歌唱だったのですが、最後声量が落ちたように感じました、ちょっと飛ばし過ぎたか。池田香織の歌唱は素晴らしい、ブリュンヒルデを歌わせてこの水準の歌手は世界でもそうはいないでしょう。オケは最後にかなり取り戻して健闘していました。

 

14日の方が感銘を受けましたが、この時期にワーグナーを上演できた新国に敬意を表したいと思います。今シーズンはドン・カルロを観る予定で、イオランタ、ルチア、カルメンはパスします。来シーズンはペレアスとメリザンド(デュトワN響での名唱が印象的なカレン·ヴルシュが出演)、マイスタージンガー、ばらの騎士、グルック オルフェオとエウリディーチェに期待したいと思います。後期のセット券を申し込んで、前半は単券での申し込む予定です、では。