2021年2月28日(日)15時 トッパンホール

岡本郁也 チェロ

<曲目>

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調 BWV1011
ヒンデミット:無伴奏チェロ・ソナタ Op.25-3
デュティユー:ザッハーの名による3つのストロフ

(休憩)

藤倉 大:osm~無伴奏チェロのための(トッパンホール15周年委嘱作品)
カサド:無伴奏チェロ組曲
クラム:無伴奏チェロ・ソナタ

アンコール 鳥の歌

 

強烈なインパクト。選曲、演奏共にトップレベルと断言。まだミュンヘンで学んでいるというが、これだけ才能があれば現在は無敵状態では?おそらく数年後に芸術的な意味での壁には当たると思いますが、最近有能な日本人チェリストが多い中でも、聴いた範囲では断トツのNo.1。

 

唯一、バッハの5番は自身が苦手なこともあり、最初は、ん?、となったものの、その後のヒンデミット以降は正にあんぐりと口を開けているしかなかったです。。。プログラム後半は、トッパンホールの委嘱作品でケラスが初演した藤倉のosm、多彩でありながら一つの塊のような超絶技巧の作品。それからダフニスのフレーズも聞こえる名チェリストであるカサドの組曲、最後はベルリンで活躍していた時代のクラスの作品。自宅で音源で聴く音楽ではなく、これはコンサート会場で聴くべきプログラムであり演奏でした。

 

これ以上、アグレッシブなプログラムもそうそうはないでしょうが、別の演奏会でもこの若者の演奏を暫くは追いかけたいと思いました、では。

 

<略歴>

H=J.ゼーフルート、山崎伸子、ウェン=シン・ヤン、ユリアン・シュテッケルらに師事。ミュンヘン音楽演劇大学を首席で卒業し、同大学院ソロ科も首席で修了。現在は同大学室内楽科でアナ・チュマチェンコとハリオルフ・シュリヒティヒのもと研鑽を積んでいる。
2011年日本音楽コンクール第1位、併せて岩谷賞を含む4つの特別賞を受賞。17年エリザベート王妃国際音楽コンクール第2位。第25回新日鉄住金音楽賞フレッシュアーティスト賞、第16回齋藤秀雄メモリアル基金賞、第28回出光音楽賞、第20回ホテルオークラ音楽賞を相次いで受賞。
これまでに小林研一郎、尾高忠明、高関健、ユベール・スダーン、オーギュスタン・デュメイ、ステファヌ・ドゥネーヴらの指揮で東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団、ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団、バート・ライヒェンハル管弦楽団、アントワープ交響楽団などと共演。19年秋には、イタリアと日本でクリスチャン・ツィメルマンとブラームスのピアノ四重奏曲で共演している。
江副記念リクルート財団第42回奨学生。ローム ミュージック ファンデーション2013、14年度奨学生。
トッパンホールには16年にジャン=ギアン・ケラスとの共演で初登場。その後も〈ランチタイムコンサート〉〈ニューイヤーコンサート〉などで成長の足跡を鮮やかに刻んでいる。