2020/2021シーズン
オペラ『トスカ』/ジャコモ・プッチーニ
Tosca/ Giacomo PUCCINI
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
オペラパレス

 

2021年1月28日(木)14:00 オペラパレス

2021年1月31日(日)14:00 オペラパレス

指揮ダニエレ・カッレガーリ

演出アントネッロ・マダウ=ディアツ

美術川口直次

衣裳ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ

照明奥畑康夫

 

トスカキアーラ・イゾットン

カヴァラドッシフランチェスコ・メーリ

スカルピアダリオ・ソラーリ

アンジェロッティ久保田真澄

スポレッタ今尾 滋

シャルローネ大塚博章

堂守志村文彦

看守細岡雅哉

羊飼い渡邉早貴子

 

新国立劇場トスカ、1月31日のチケットを確保していたのですが、メーリの来日が確実になり、会社の有給休暇を取得し28日の公演も追加で購入しました。ディアツの名演出・舞台、新国の定番演出となり、これからも繰り返し使われるものですが、久しぶりですが、完全にオーソドックスながら舞台機能をフルに活用しつつ、舞台美術も素晴らしい。最近ストリーミングやYouTubeでトスカの舞台をチラ見することもありますが、この新国の演出は秀でていると思います。

 

今回の主役ははやりメーリ、喉が開いた素晴らしい発声に輝かしい声色、ファルセットへのギアチェンジのところで若干気になるクセは感じられるものの理想的なカヴァラドッシでした(タイプは全然異なるものの能天気、アクセル全開のクピードも好きでした)。メーリを聴くだけでも十二分に価値のある公演でしたが、イゾットン(初めて聴きます)がなかなかの歌唱、特に歌に生き、恋に生きでの真摯な歌唱は引き込まれるものがありました。スカルピアのソラーリ、初日の評判では声量がなさ過ぎて云々で散々な言われようでしたが、確かに悪辣なゴッビや新国で圧倒的存在感であったポンスと比べると、ですが、スタイリッシュで特に31日は圧もありました。

 

メーリの圧倒的な歌唱、イゾットン、ソラーリも大健闘でしたが、公演全体としてカタルシスを得るに至らなかったのは、カッレガーリの指揮でしょう。イル・トロヴァトーレの良い録音を90年代初頭に残していましたが、歌手に寄り添いブレスも自然にさせる指揮で手練れの指揮でありますが、たたみ込みの部分がなく、職人の悪い面も残念ながら出たきらいがありました。とは言え、この困難な時期、制限を課しつつこれだけの上演を実現しているのは、世界でも新国立劇場くらいなものでしょう(ロシアも上演続けていますが、犠牲も多し)、立派だと思います。31日の公演後、メーリの東文小ホールでの制限付座席も入場できるとの通知がありました。その前にびわ湖ホールでも公演があるそうですが、こちらも大いなる期待を持って聴きたいと思います、では。