一、壽浅草柱建(ことほぎてはながたつどうはしらだて)

曽我五郎時致 松也
曽我十郎祐成 隼人
小林朝比奈 巳之助
大磯の虎 米吉
化粧坂少将 莟玉
喜瀬川亀鶴 鶴松
茶道珍斎 種之介
小林妹舞鶴 新悟
工藤左衛門祐経 歌昇
 

二、猿翁十種の内 悪太郎(あくたろう)

悪太郎 猿之助
修行者智蓮坊 中村福之助
太郎冠者 鷹之資
伯父安木松之丞 猿弥

 

冒頭は曽我物、恒例の浅草公会堂での花形による公演は今年は中止。それに替わって歌舞伎座で華やかな舞台。米吉の存在感が素晴らしい。新悟、莟玉は健闘だがまだまだ、鶴松は苦しい。巳之助は年々声が良くなってきていることを実感。松也は声の通りは一番、あれで大衆演劇的なにおいが取れれば良いのですが。隼人はここ1年の成長著しい、ひところの不振は完全に抜けたようです。爽やかな舞台でした。

 

猿翁十種の中から悪太郎。筋書は下記の通り、初笑い舞踊というところでしょうか。福之助、鷹之介も含めて達者な踊り。今日は3階席で観ましたが、第1部の演目を1等席15000円を払えるかと言えば? 第1部のチケット売り上げは比較的好調なようなので、猿之助人気ということなのでしょうね。では。

 

一、壽浅草柱建(ことほぎてはながたつどうはしらだて)
初春にふさわしい舞踊で新年を寿ぐ
 主君の源頼朝から富士の巻狩の総奉行職を命じられた工藤祐経は、そのための仮屋の普請を行うこととなり、柱建ての儀式を執り行います。これに列座するのは、小林朝比奈をはじめ、傾城の大磯の虎や化粧坂少将たちに加え、工藤を親の仇と狙う曽我十郎、五郎兄弟。いきり立つ五郎を舞鶴や茶道珍斎、喜瀬川がなだめるところ、工藤は兄弟の父である河津三郎の最期の様子を物語っていきます。
 「曽我もの」の舞踊のなかでも珍しい、長唄の「新柱建」を再構成し、正月恒例の「新春浅草歌舞伎」を彩っている花形たちがそろって、令和3(2021)年の幕開きを寿ぎます。

 

二、猿翁十種の内 悪太郎(あくたろう)
悪太郎が繰り広げる、ユーモアたっぷりの舞踊劇
 大酒飲みで酒乱の悪太郎。陽気で無邪気な腕白坊主ですが、酔うと周囲に迷惑をかけるので悪太郎と呼ばれています。伯父の松之丞は、何度意見しても聞く耳を持たぬ悪太郎を懲らしめようと一計を案じますが…。
 澤瀉屋の家の芸「猿翁十種」のひとつである本作の主人公・悪太郎は、大きな鎌髭を生やし、愛嬌ある表情からも憎めない存在です。修行者とのやりとりや、薙刀を振り回しながら舞う姿など、随所で笑いを誘います。狂言を素材にした、おかしみあふれる軽快な舞踊劇をお楽しみください。