2018年5月27日(日)午後7時30分開演 上海音楽庁

Joshua Bell

Academy of St Martin in the Fields

 

Bach Violin Concerto No. 1  in A minor, BWV 1041

Tchaikovsky  Serenade for Strings in C Major, Op.48

Barber Adagio for Strings, Op.11

Piazzolla  Four Seasons of Buenos Aires

 

現在音楽監督を務めるジョシュア・ベルがアカデミー室内管の弦楽だけを率いての来海公演に行ってきました。マリナーの時代からそうですが、明るい解放的な弦でリズム感が良い音楽を作る面が長所、ある種の毒というか凄みのある音楽はムード音楽になってしまうこともあるのが短所というオケだとの印象ですが、今日はそのプラス面が最大限に活かされた、爽快なコンサートでした。

 

最初のバッハの1番のコンチェルト、ヴィブラートは控えめながら、昨今の古楽奏法とは無縁。私は昔はエラートレーベルでのジェラール・ジャリのバッハも大好きだったので、今日の演奏スタイルは大歓迎です(勿論、古楽系も大好きです)。それにしてもベルのヴァイオリンの音の大きいこと!この楽器ってこんなに響くのという位、明朗で輝かしい音色でした。いや、今日は当たりだなと思っていたら、その後のチャイコの弦楽セレナードにノックアウト。以前ラザレフの演奏にも感銘を受けましたが、今日の演奏は流麗で、パッションもあり、その一体感は特筆すべきものでした。マリナー指揮の名盤もありますが、それよりも一段テンポが速く、表現も一段踏み込んだものがありました。ロシア的とは縁のないものでしたが、いや~、気持ちいい、良い曲だなと浸ることができました。

 

休憩後のバーバーの弦楽のアダージョ、前日にエマーソンのカルテット版での研ぎ澄まされた演奏を聴いた直後ということもありますが、これは短所が出たかな、何だかムード音楽に聞こえてしまいました。いやはや演奏というのは難しい。そしてその後のブレノスアイレスの四季、アルゼンチンタンゴの巨匠ピラソラの作品で20年ほど前からクレーメルが頻繁に取り上げてからメジャーになった曲ですが、真正面から真剣に聴いたのは今日が初めて。こんなに面白い作品だったとは!タンゴを背景にしつつ、バルトーク的な部分や、ヴィヴァルディの四季やパッヘルベルのカノンの変形などを織り交ぜつつ、よくありがちななんちゃってクラシックではなく、曲として高度に芸術性も以て成立している音楽でした。この音楽を今まで知らなかったなんて、何と勿体ないことをしてきたのかと後悔です。

 

いや、日曜の夜、良い演奏会で週末を締めくくれました、では。