2018年4月26日(木)午後の部 歌舞伎座

四世鶴屋南北 作

奈河彰輔 補綴・演出

片岡仁左衛門 監修

通し狂言

  絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)

立場の太平次
片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候

序 幕


二幕目


三幕目



大 詰
第一場 多賀家水門口の場
第二場 多賀領鷹野の場
第三場 多賀家陣屋の場
第一場 四条河原の場
第二場 今出川道具屋の場
第三場 妙覚寺裏手の場
第一場 和州倉狩峠の場
第二場 倉狩峠一つ家の場
第三場 倉狩峠古宮の場
第四場 元の一つ家の場
第一場 合法庵室の場
第二場 閻魔堂の場

 

左枝大学之助/立場の太平次
田代屋与兵衛
田代屋娘お亀
孫七
太平次女房お道
お米
番頭伝三
升法印
関口多九郎
田代屋後家おりよ
高橋瀬左衛門/高橋弥十郎
佐五右衛門
うんざりお松/弥十郎妻皐月
仁左衛門
錦之助
孝太郎
坂東亀蔵


松之助
由次郎
権十郎
萬次郎
彌十郎

南北物は仁左衛門に限る、昨年の亀山鉾も素晴らしかったが、今日の一世一代の、その千秋楽公演も渾身の演技。悪行非道の限りを尽くす、大学之介、太平次、正に悪の華。南北の残虐美を見事に表現。あの声が響くこと、25日間あの声を出し続けられるのは修行の賜物、その集大成を魅せて頂きました。先年の松竹座での公演は放送され録画して繰り返し見ているほど、お気に入りの演目が観ることができて幸せでした。震災後での国立劇場での公演がありましたが、相当昔に幸四郎が上演した以外は近年は仁左衛門が手掛けるだけ。今後は誰が教えを受けて上演する、できるのかしらむ。。。

 

74歳で出ずっぱりの舞台を務めるのは限界と今回が一世一代と銘打っての歌舞伎座公演、見事で歴史に残る上演であったと言えるでしょう。後々まであの時の仁左衛門は凄かった、と自慢している自分が想像できる位に感銘を受けました。最後の河堀口の閻魔大王のところで終わり舞台が終了、歌舞伎では珍しくカーテンコールまであり、観客全員が仁左衛門の精魂込めた舞台に惜しみない拍手を贈りました。上海から無理にスケジュールを付けて帰国して観た甲斐がありました。

 

高橋兄弟は前回の歌六も良かったですが、今回の彌十郎も滋味と力感があり素晴らしい。時蔵のうんざりお松は当たり役、仁左衛門とのコンビは嵌りですが、これが観れなくなると思うと寂しい限りです。

 

絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)

仁左衛門が一世一代で勤める悪の魅力満載の傑作

〈序幕〉 近江国多賀家の分家左枝大学之助は御家横領を企み、多賀家の重宝「霊亀の香炉」を盗み出します。大学之助は京の道具商田代屋の養女お亀の美しさに心を奪われ、無理矢理妾にしようとしますが、お亀の許嫁与兵衛の実兄である多賀家の家老高橋瀬左衛門が阻みます。後日、多賀家の陣屋に現れた大学之助は、傲慢な振る舞いを瀬左衛門に咎められ、多賀家の重宝「菅家の一軸」で打ち据えられますが…。
〈二幕目〉 京の四条河原。大学之助と瓜二つの太平次に惚れ込んでいる蛇使いのうんざりお松は、太平次のために質屋から「霊亀の香炉」を取り戻そうと田代屋を強請(ゆす)りますが、失敗に終わります。田代屋の後家おりよは、与兵衛とお亀をわざと勘当し、香炉を渡して出立させます。しかし、太平次はおりよを殺害、金を奪うとお松とともに田代屋を後にしますが…。
〈三幕目〉 京を離れた太平次は、大和国倉狩峠で旅人の休憩所である立場を営むようになり、そこへやってきた高橋家ゆかりの人々を次々手にかけ…。
〈大詰〉 天王寺近くの庵室。瀬左衛門の弟弥十郎は合法と名のり、太平次によって深い傷を負わされた与兵衛を庵室に匿っています。しかし、そこへ大学之助が現れ、与兵衛は斬られてしまいます。死に際の与兵衛の話から、ある事実が判明し…。

 四世鶴屋南北の名作『絵本合法衢』が、片岡仁左衛門一世一代にて、ついに歌舞伎座初上演です。極悪非道な権力者大学之助と、悪事の限りを尽くす町人太平次の二人がみせる悪の魅力を存分にご堪能いただきます。

 

通し狂言

梅照葉錦伊達織

二、裏表先代萩(うらおもてせんだいはぎ)

大場道益宅
足利家御殿
同  床下
小助対決
仁木刃傷

  下男小助/仁木弾正
乳人政岡
細川勝元
下女お竹/沖の井
倉橋弥十郎
荒獅子男之助
渡辺民部
鶴千代
松島
大場宗益
横井角左衛門
栄御前
八汐
大場道益
渡辺外記左衛門
菊五郎

錦之助
孝太郎

彦三郎
坂東亀蔵
亀三郎

権十郎

萬次郎
彌十郎

また前日は東京に到着してすぐに歌舞伎座へ向かい、これまた時代と世話の両方の悪役を務めた菊五郎の裏表先代萩を観ることができました。こちらはやや客入りは寂しいものでしたが、午後の部と違い、世話の音羽屋のユーモアがあり、そしていつもの御殿・床下を挟み音羽屋らしい先代萩を楽しむことができました。こちらも菊五郎23年ぶりの出演とのこと。7代目も80代を見据え、演目を吟味して上演しているでしょうね。

 

では。

二、裏表先代萩(うらおもてせんだいはぎ)

御家騒動を二つの視点で描く時代物の大作

 下男小助は、足利家の家督を継ぐ鶴千代を殺すための毒薬の調合をしたことで褒美を得た町医者の大場道益を殺害、大金を奪います。
 一方、足利家の御殿では、乳人政岡が鶴千代の身を守っています。そこへ管領山名宗全の妻栄御前が現れ、毒入りの菓子を鶴千代に勧めますが、政岡の子千松が菓子を食べてしまいます。千松は執権仁木弾正の妹八汐にとどめをさされますが、政岡が表情ひとつ変えないことから、栄御前は政岡が味方だと勘違いし、悪人方の連判状を渡してしまいます。しかし、その連判状を大鼠に化けた仁木弾正に奪われ…。
 菊五郎ゆかりの時代物の悪人仁木弾正と世話物の悪党小助の2役を、当代菊五郎が実に23年ぶりに演じます。善悪が入り乱れる伊達家の御家騒動を描く傑作をお楽しみいただきます