劇団AUN第22回公演
吉田鋼太郎×市村文学 第二弾!
作・演出 市村直孝

彼は蒸気機関車が好きだった
大きな鉄の輪に乗って、勇ましく駆けてゆく姿を陸橋の上から暗くなるまで眺めていた
未来を運ぶ黒鉄の、溢れる思い、汽笛に乗せて手の平の方位磁石はいつもの通り進むべき
方角を指し示してくれています

2015年6月27日(土)14:00~

【場所】
DDD AOYAMA CROSS THEATER
(東京都渋谷区渋谷1-3-3 SIA青山ビル地下1F)

今をときめく吉田綱太郎氏が主宰する劇団の公演を
Y夫妻のご厚意でチケットを頂き、観劇して参りました。

表参道からKINOKUNIYA、青山学院大学の前を通り、
こどもの城、青山劇場を曲がると直ぐに、しかし目立たないところに
DDD AOYAMA CROSS THEATER がありました。
やはりおしゃれっぽい(笑)雰因気の街にある地下の小劇場。
火事になったら全員一酸化炭素中毒だな、なんて不謹慎なことを想いながら。

座席を受付で交換することになっていたので差し出すと
前から3列目で舞台に近いこと。
吉田綱太郎ほか役者の汗、唾まで直に飛んでくる感じ(笑)。

物語は昭和63年、国鉄を退職した蒸気機関車の元機関士が痴呆症を患い
過去の様々な記憶が交錯していく中で、
小学生の頃に蒸気機関車(黒鉄さん)の運転士を目指す過程や
家族、友人、影響を与えてくれた大人たちなどの想いが
入り混じり、駅跡を徘徊しながら、その想いでが時空を超えて
眼前に展開されるというもの。

あらすじも記載があまりないので、
最初はけたたましい演技が続くな~、何て思っていたのに
10分ほどするとすっかり惹き込まれていきました。
各々の登場人物が発した言葉が最後に結実、
その伏線の張り方もなかなかの脚本でした。
吉田綱太郎はほぼ出ずっ張りの大活躍。
体当たりの演技と見せつつ、見事なコントロール。
声の使い方、間の取り方、唸らされました。

戦前の日本人の素直な人間性、それはピュアであり
現代の我々からすると少し怖い感じもしつつ、
でもある種の憧憬を見るようでもあり。

元機関士の男の生き様でもあり、
戦後70年の日本に対するアンソロジーでもり、
家族の物語でもあり、何しろさまざまなものが詰め込まれた公演でした。

明日28日(日)が千穐楽、当日チケットが少しあるそうですから
お時間のある方は観る価値十分な公演だと思います。

こんな重量感あるものを観たのに、ダブルヘッダー。
次は三軒茶屋へ移動します。