第789回 定期演奏会Bシリーズ
日時:2015年5月29日(金)19:00開演(18:20開場)
サントリーホール

出演者

指揮/トーマス・ダウスゴー
クラリネット/カリ・クリーク
ソプラノ/半田美和子 *
バリトン/加耒 徹 *
東京都交響楽団

曲目

サーリアホ:クラリネット協奏曲《D'OM LE VRAI SENS》 (2010)(日本初演)
ニールセン:交響曲第3番 op.27《広がりの交響曲》

衝撃的な体験であった。

サーリアホ、現代フィンランドを代表する女性作曲家。
武満賞のため、長期間に渡り日本に滞在していますが、
今日は都響で話題のクラリネット協奏曲が日本初演されました。

2010年にクリークのクラリネット、オラモ指揮のフィンランド放送響で初演された
ものですが、世界各地で採り上げられているようで、下記リンクはサロネン指揮の
フランス放送管弦楽団による演奏です。

この作品は有名な中世のタペストリー「貴婦人と一角獣」から着想されたもので、
「聴覚」「視覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」「我が唯一の望みに」の6曲から
構成されており、ソリストは舞台外や客席、パーカッション席、指揮者前、右と
演奏位置を変えることを要求され、そして極めて感覚的な箇所から
野獣の様は響き、そして倍音などを使った超絶技巧など、
信じられない、そら恐ろしいクラリネット協奏曲であります。

第1曲~5曲は絵と同じ、そして最終曲は「我が唯一の望みに(A mon eul desir)」ですが、
アナグラム(文字の入れ替え)で考えると、表題「d'om le vrai sens(人の真なる感覚
/意味)」となるのでした。

それにしてもクリークというクラリネット奏者、恐ろしいほど達者。
この楽器のすべての可能性を出し切った演奏に感嘆しかありませんでした。
作曲家の言葉によると、クラリネットが一角獣でもあるとのこと、
確かに。。。。少し吉松隆のファゴット協奏曲(一角獣)とイメージ重なるところもあるかと。

演奏が静かに終わると盛大な拍手が。
現代曲にありがちな、おざなりの拍手ではなくて、
ほとんどの人が初めて聴いた曲に心から拍手しているのが良く分かりました。

何度ものカーテンコールで、アンコールを吹こうと、して辞めて笑いをとり、
作曲家をステージに呼び戻して挨拶して前半は終了。

後半はダウスゴー得意のニールセン。
作曲家の出世作である交響曲3 広がりの交響曲です。
強烈な和音で始まるエネルギッシュな交響曲で
ダウスゴーの指揮も熱血で、トロンボーンなど開放された響きで嬉しそう。
前半との対比という意味でもなかなか良くできたプログラムでした。
ニールセンはアニバーサリーの割にはシベリウスに押されて
日本では演奏会が少ないですが、今回の都響の演奏はかなり意義のあるものでした。

帰りはいつもの鮨屋で、サーリアホの話はできないので(笑)、
感動を食欲にぶつけてかなりの量を食しました(笑)。
では。