曲亭馬琴=作
渥美清太郎=脚色
尾上菊五郎=監修
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん) 五幕九場
国立劇場美術係=美術


発 端 (安房)富山山中の場
序 幕 (武蔵)大塚村蟇六内の場
          本郷円塚山の場
二幕目 (下総)滸我足利成氏館の場
          同   芳流閣の場
三幕目 (下総)行徳古那屋裏手の場
四幕目 (武蔵)馬加大記館対牛楼の場
大 詰 (上野)白井城下の場
      (武蔵)扇谷定正居城の場

出演
尾 上 菊 五 郎
中 村 時  蔵
尾 上 松  緑
尾 上 菊 之 助
坂 東 亀 三 郎
坂 東 亀  寿
中 村 梅  枝
中 村 萬 太 郎
市 村 竹  松
尾 上 右  近
尾 上 左  近
市 村 橘 太 郎
河原崎 権 十 郎
市 村 萬 次 郎
市 川 團  蔵
坂 東 彦 三 郎
市 川 左 團 次

1月の国立劇場は同じに音羽屋一門による華やかな舞台。
1月4日と25日の二回観て参りました。

既にBSで全幕が放送されまて録画を部分的に見ましたが、
日本が誇る冒険譚、スペクタクルである南総里見八犬伝は魅力的。
これに菊五郎が刀売りの場面を105年振りに復活させて物語を再構成しました。
里見八犬伝を歌舞伎では初めてみましたが(国立劇場では24年ぶり4回目の上演だそう)、
冒頭の右近の伏姫から調子上々、この人若いのに世代の中の女形では
頭一つ抜けていますね。

やや松緑はアクが強過ぎてワンパターンに見えるところはありましたが、
花道での所作などなるほどと感心するところもありました。

團蔵と萬次郎の夫婦が浜路の両親を演じましたが、
「ダメよ~、ダメダメ」のギャグを入れていました。
ちょっと強引だったかな(笑)。
でも、萬次郎は嬉しそうでした。

彦三郎を久しぶりに見ましたが、足利成氏役でお殿様。
セリフまわしがちょっと苦しそうですが、存在感はありました。

菊五郎、犬山堂節は初役だそうです。
冒頭登場シーンは体型がふくよか過ぎてアレっという感じですが、
声やセリフ廻しは流石、派手な演出も目を惹きました。

そして時蔵、女田楽に化けて踊って見せるところなど素晴らしい。
この人は本当に豊穣の時を迎えているのでしょうね。
切られお富も感動しました。
時蔵主演の演目を近いうちに観たいものです。

大詰めでは敵役の左團次が(身体は年齢から少し震えていますが)
これまた良い声で、ホントに渋くて恰好良い、ヨッ、高島屋!!
そして左團次が真ん中にドンとなって勢揃いで幕でありました。

あ~、面白かった。