2015年1月31日(土)午後2時開演 

ワーグナー 歌劇さまよえるオランダ人

【指揮】飯守泰次郎
【演出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美術】堀尾幸男
【衣裳】ひびのこづえ
【照明】磯野 睦

【ダーラント】ラファウ・シヴェク
【ゼンタ】リカルダ・メルベート
【エリック】ダニエル・キルヒ
【マリー】竹本節子
【舵手】望月哲也
【オランダ人】トーマス・ヨハネス・マイヤー

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

今日はYさんからチケットを頂いて大変良い席で観劇できました。

シュテークマンの演出で3回目の上演。
過去はカンペのゼンダの名唱がありましたが、
その他は指揮歌手含めてあまり良い印象は残っていません。
今回も初日からオケを中心に酷評が目立ったので、
心配していたのですが、それは杞憂に終わりました。

冒頭の飯守の指揮からして重厚で、最近の音の薄い演奏とは完全に異なるもの。
重厚で芯がある音楽運び、これこれと鶴首しておりました。

ヨハネス=マイヤーの歌唱は安定的で演技も堂にいったもの、
あのシャイニングような風貌(笑)はオランダ人にあっているかも。
シヴェクはドン・カルロに続く登場で、冒頭ややオケに先行してしまうところが
あったものの、朗々とした声で堂々とした歌唱。
そしてメルベートのゼンダ、これが素晴らしい。
ローエングリンの時はやや声に潤いが乏しいかな、と感じましたが、
今日はバラードや最後の自己犠牲の場面も相当な迫力で
真に迫っていた歌唱であり、彼女のベストフォームを観ることができました。

オケに比べて歌手・合唱がやや前のめりになる傾向が
1幕冒頭や2幕の二重唱などで観られましたが、
もう少し強引に飯守がまとめてくれても良かったかと思われます。
しかし、飯守のワーグナー、決して分かり易い重厚さではないのですが、
底流に太い流れが確りとあるので、信頼感大で私は好みです。

演出のシュテークマン、ローエングリンは良好でしたが、
このオランダ人は本当に不評ですね。
舞台が単調で照明も暗く、何か唸らせる解釈がある訳でもなし・・・。
これが最後の上演になるのではないかと・・・。

合唱そのものは、いつもに比べるとやや粗さはあったものの流石のレベル。
只、人数の問題はあったのでしょうが、あのPAの使用は興が削がれました。

東響は金管は安定しなかったもの、飯守の指揮に今日は良く反応していたと思います。
とにかくメルベートが素晴らしかったので、かなり満足できた公演でした。
本日ご一緒したH夫人はヨハネス=マイヤーの野性味が素敵、と言っておられましたが(笑)。

上演後はH夫人とお茶をした後に、いつもの鮨亭へ。
のどぐろの塩焼き最高でした。

では。