2014年11月8日(土)13時開演 新国立劇場小劇場

二人芝居-対話する力-Vol.2
ご臨終
作 : モーリス・パニッチ
翻訳 : 吉原豊司
演出 : ノゾエ征爾
出演 : 温水洋一 江波杏子

(ネタバレあり、ご注意)

1回の休憩を挟み正味2時間、この間に暗転が35回、
二人芝居と言えども、江波は6,7言だけ、他はすべて温水が話続ける。
(台本87ページ分だそうです・・・・)

カナダのパニッチのこの作品は世界各国で上演され、
日本でも完全な商業公演ではないようですが、2度程上演されたそうです。

前半は大人のブラックユーモア全開、何せ相続狙いで40年間会ったことのなかった
おいが死期が近いとの手紙と受取り、おばさんが亡くなるのを待っているのですがから(笑)

おばさんはほとんど話さず、眼で何かを訴える。
江波の眼の表情がスゴイ。
まあ、恰好良すぎますけどね。
(江波と言えば女賭博師シリーズを想い出します。
 何故か1本DVDが自宅にあるのです(笑))

温水も人が良いのか悪いのか、
シニカルなのか、現実主義者なのか。
様々な表情を見せてくれます。

なかなか死なず(W)、1年経過したある日、
隣でいつも窓からこちらを観ている老婦人が、
実は数か月前からそのイスで亡くなっていたことがわかります。。。
・・・・そう家を一軒隣間違えていたのです。
この1年間は・・・なんだったのか。
なぜ老婦人は何も言わなかったのか。

怒り後悔し家を出ていくが、何か心に引っ掛かるものがありまた戻ってくる。
二人の間に何かが産まれ育ちそうになるその時に、彼女は亡くなるのです。

そして火葬後の骨を土に混ぜてアマリリスを育てるのなんか素敵だね、こんなアイデアどう?
とブラックジョークを飛ばしていたその通り、彼はもはや関係のない彼女を火葬し、
鉢にアマリリスを植え、それを暫く眺めます。
どれだけ時間が経過したか、そこから萌芽するところで幕となりました。

最後の20分で急にヒューマニックになりますが、
過度に感傷的にならず、何からしらのものが記憶に残る良い幕切れでした。

帰りは初台からではなく、余韻を保ちながら新宿まで歩きました。
しかし急に腹が減り、ステーキ400gを食べました。
あまり美味しくなく意味なく満腹になり、
そしてガッカリして大江戸線の都庁前駅に向かいました。

<あらすじ>

一人暮らしの叔母から、何十年も音信不通だった甥のもとに「年齢としだ、もうじき死ぬ。」との手紙が届く。取るものも取り敢えず、銀行の仕事を辞めて大急ぎで駆けつけ、積極的に世話をし始めるが、叔母は打ち解けない様子で、ベッドで編み物をし続ける。老婆の部屋で繰り広げられる1年以上にわたるふたりの奇妙な共同生活。やがて新年を迎えた二人にある変化が......。