2014年7月13日(日)14:00開演 会場:サントリーホール

#528 定期演奏会
愛をとるか力をとるか、メッツマッハーが紡ぐ英雄伝説


■プログラム
ベートーヴェン作曲 劇音楽『エグモント』 op. 84 序曲
ツィンマーマン作曲 トランペット協奏曲ハ長調『誰も知らない私の悩み』
アンコール マイファニーバレンタイン
ベートーヴェン作曲 交響曲第3番変ホ長調『英雄』 op.55

■出演者
指揮:インゴ・メッツマッハー
トランペット:ホーカン・ハーデンベルガー

7月と9月のメッツマッハーはツィンマーマンとベートーヴェンという
武闘派というか、過酷な運命と戦った作曲家を対にして採り上げます。

ベートーヴェンではエグモント、スペインからのフランドルの独立蜂起、
そして英雄は言わずと知れたボナパルトへの賛歌。。。そして失望。
政治的な主張の濃い作品だと思います。

メッツマッハーの分厚い且つキレのある音はこのベートーヴェンに合いますね。
単にテンポが速いだけでなく、重心も結構低めでズシリと聴き応えもありました。
恰好良いし、気持ちも良い。
単にフォームがきれいだけでなく、主張が伴っているので
音の体操になっていない、近年のピリオド系の演奏ではままきかれる悪癖のある
演奏表現とは全くことなるものです。

新日フィルがメッツマッハーに食らいついていました。
先日のハーディンクとは全く音楽作りが異なりますが、
両指揮者に新日フィルがここまでついていくとは。
うーん、やはり指揮者なのか。
このオケは弦がやたら薄くなる時があるのですが、
この数回の演奏会ではそれが感じられません。

そして最後はピストル自殺した東ドイツの作曲家。
公民権運動が米国で吹き荒れていた時代に
黒人霊歌「誰もしらない私の悩み、誰も知らない私の哀しみ、主に栄光を、ハレルヤ」
という歌詞の旋律が用いられている政治的な曲です。

多用なスタイルを織り交ぜて勢いのある曲調となっています。
ソロのハデンベルガー、上手い!
聞いていて面白いですね。

ツィンマーマンやノーノの作品のタイトルは小生のような感傷主義者には
何だか惹きつけれられるものがあります。

来週のトリフォニーは聴けませんが、
9月はサントリーで聴くことにします。

では。