2014年6月14日(金)12:00 開演

シアターコクーン
渋谷・コクーン歌舞伎第十四弾

三人吉三
さんにんきちさ

 
◆演出・美術  串田 和美
   
◆出演            
和尚吉三 中村 勘九郎
お嬢吉三 中村 七之助
お坊吉三 尾上 松 也
十三郎 坂東 新 悟
おとせ 中村 鶴 松
海老名軍蔵/八百屋久兵衛 真那胡 敬二
太郎右衛門/長沼六郎 大森 博 史
堂守源次坊 笈田 ヨシ
土左衛門伝吉 笹野 高史
研師与九兵衛 片岡 亀蔵

前評判高いコクーン歌舞伎での三人吉三観て参りました。
今回は全く邦楽器は使用せず。

如何にも串田、つまり自由劇場っぽい一体感のある演出でした。
観客を巻き込みつつ、但しやり過ぎず。

繰り返し上演さえる大川端庚申塚の場だけでなく、
通しだと幕末のこの極めて退廃的な歌舞伎の面白さ、
それにしてもよく黙阿弥はこんなストーリーを作り上げたもんだ。

勘九郎、ほんとにお父さんにソックリ!
声、節回し。決してマネておらず勘九郎の和尚吉三ですが、
どこか勘三郎が出てきます、怖いくらい。
ここ1年顔を良くなってきました。
祖父、父親が偉大過ぎて可哀そうに、なんて勝手に思っていましたが、
10年後で齢をもう少し重ねたらと思うと楽しみです。

とは言え、コクーン歌舞伎、刹那的な不良の若者を
七之助、松也と勘九郎とでストレートに表現されていました。
演劇としての三人吉三の完成度の高さに感じ入った次第。

松也は主役の色気存在感を持つ人ですが、
声の艶やかさ、華やかさは大したものですね。
しかしもう一段上の表現を目指すのであれば
昔のようにもう少し女形で鍛えた方が良いのでは。

七之助、いつもの歌舞伎公演より開放されており
過去観たもので一番素晴らしい。
福助より満足度が高い、というかお嬢吉三の声色の使い方が良い。
別にいつも女装していなくても良いのに、何故か振袖姿を通す
複雑な人間を大胆に且つ繊細に演じていました。

亀蔵や笹野などベテラン常連も味わいあり。
亀蔵はホントに良い。

そして新悟はおとせが持ち役でしたが、今回は新十郎、
成程、これも似合う。
パンフではいつか自分もお嬢吉三に挑戦したいと。
おとせを演じた勘三郎の部屋子、鶴松の可憐な演技と共に光っていました。

それにしても30~40代の女性が多いこと、満員大入りでした。
前の三人吉三と同様、紙吹雪舞う中で三人が差し違えるところなど。
視覚的にも大いに楽しめたと同時に、美しいと純に感じられました。

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