2014年5月31日(土)15:00開演/東京文化会館

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
「シモン・ボッカネグラ」プロローグと第3幕のメロドラマ
台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ、アッリゴ・ボーイト

Giuseppe Verdi
Simon Boccanegra
Melodramma in un prologo e tre atti
Libretto di Francesco Maria Piave e Arrigo Boito

指揮:リッカルド・ムーティ
Direttore d'orchestra:Riccardo Muti
演出:エイドリアン・ノーブル
Regia:Adrian Noble
美術:ダンテ・フェレッティ
Scenografia:Dante Ferretti
衣裳:マウリツィオ・ミレノッティ
Costumi:Maurizio Millenotti 
合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani

シモン・ボッカネグラ:ジョルジョ・ペテアン
Simon Boccanegra:George Petean
マリア・ボッカネグラ(アメーリア):エレオノーラ・ブラット
Maria Boccanegra:Eleonora Buratto
ガブリエーレ・アドルノ:フランチェスコ・メーリ
Gabriele Adorno:Francesco Meli
ヤーコポ・フィエスコ:ドミトリー・ベロセルスキー
Jacopo Fiesco:Dmitry Beloselskiy
パオロ・アルビアーニ:マルコ・カリア
Paolo Albiani:Marco Caria
ピエトロ:ルーカ・ダッラミーコ
Pietro:Luca Dall'Amico
伝令:サヴェリオ・フィオーレ
Araldo:Saverio Fiore
侍女:スィムゲ・ビュユックエデス
Serva:Simge Büyükedes

ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro Dell'Opera di Roma

◆上演時間◆
プロローグ、第1幕 Prologue, Act1 15:00 - 16:40
休憩 Inter. 30 min
第2幕、第3幕 Act2, Act3 17:10 - 18:10

過去の来日公演では醜態を晒したローマ歌劇場ですが、
ムーティの薫陶の下、復活は本物のようです。

文句なしにムーティのカリスマにより、
オケ、歌手、合唱団が一つに完全に纏まっており、
観客もそのオーラに包まれているようです。
昔は原典主義の頑固者で、音楽作りも直線的なところがあり、
正直好きな指揮者ではありませんでしたが、
現在、ムーティは知と情(情けと情熱)が最高潮にバランスしているということなのでしょう。
それは素直に評価せねば!!

ヴェルディの中期以降の作品の中では、
決して分かり易い作品とは言えないシモン・ボッカネグラで
これだけの成功を収めるとは!!
冒頭の柔らかい旋律が流れた瞬間に音楽的な成功は確信しました。
その後もしなやかさと豪胆さが見事にバランスした音楽が展開されました。
ムーティの棒に皆が謙虚に一所懸命に従っているのです。
オケの水準もトップとは言いませんが、相当レベルが上がりました。

演出も空間を活かした正攻法なもの、
美術が美しい。

それに今回は歌手のレベルが高いこと!
メーリ、ベテアンはその実力は事前に知っていましたが、
そのほかの人は初めての人ばかりです。

ベテアン、豊かな声量で過去の偉大な歌手の表現とは異なる
人間シモーネの表現に長けてしたと思います。
これだけのものを歌える人はそうはいないでしょう。
素直に拍手。

フィエスコのベロセルスキー、重厚な声。
まだ年齢はそれほどではないでしょうが、
ヴェルディのバス役は殆ど歌えるでしょう。
実力者、これだけの存在感ある声はなかなか会えないものです。
ムーティが各所で起用しているだけはあり。

メーリ、メジャーな歌劇場は総なめしていますが、
その名に恥じぬ輝かしい声!
しかも品位もあり、演技もなかなか。
これから10~20年は活躍が続くことでしょう。

フリットリの代役となったブラット。
この若いソプラノがまた素晴らしいパフォーマンス。
輝かしい声で、大人のフリットリよりブラットの方が
アメーリアの役にピッタリでした。
声量もありますね。
声のコントロールも効いていて、ムーティの指導を素直に受けた成果も出ているようです。
ローマ歌劇場でのプレミアでもブラットが歌ったそうですが、
結局この人が代役で来てくれて大成功でした。

合唱はやや粗さはあるものの、気持ちのこもったもの。

非常に満足できたオペラ公演でありました。
まだわかりませんが、これまで聴いたムーティの演奏では
ディスクも含めて過去最高の出来栄えかもしれません。

帰りはいつもの鮨屋へ。
調子に乗って飲みすぎました・・・。
では