2010年10月30日 (土) 18:00 開演 (17:30 開場)
ハイドン : オラトリオ「天地創造」
ソプラノ: ドロテア・レッシュマン
テノール: ミヒャエル・シャーデ
バス: フローリアン・ベッシュ
合唱: アーノルト・シェーンベルク合唱団
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
オーケストラ : ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
合唱指揮:エルヴィン・オルトナー
指揮: ニコラウス・アーノンクール
サントリーホール
S¥28,000 A¥23,000 B¥18,000 C¥13,000 D¥9,000
プラチナ券¥33,000



シュテファン・ツヴァイクが記したジョゼフ・フーシェの評伝を読むと、
ナポレオンが大流行していたハイドンの天地創造を聴きに会場に向かっている
途中にあやうく暗殺されそうになる場面があります。

この時代、ハイドンの天地創造は史上空前の大人気曲だったようですが、
この曲の魅力を今日は本当に堪能することができました。

アーノンクールはロ短調ミサの演奏時よりも今日のほうが更に充実した指揮振りで
全曲通じてこの曲を隅々まで熟知していることが良く判りました。
冒頭の第1音から最後のアーメンまで一切緊張感が弛緩することなく
オケ・独唱・合唱が見事に有機的に結びついた演奏となっていました。
いつもの目を見開きながら気合の入った表情もあり、
アダムとイヴの2重唱では微笑みながら本当に幸せそうな表情もあり
アーノンクール自体も恐らく非常に満足した演奏になったのではないでしょうか?
アタックが強いところはアクセントとして強調しつつ、
各声部の扱いが非常に丁寧で全ての音を聞かせてくれ、
この曲の魅力を聴衆に120%伝えてくれたのではないかと思います。
コンチェントゥス・ムジクス創立50周年記念コンサートでも
天地創造を採り上げていたので思い入れが相当強い曲なのでしょうね。

シェーンベルク合唱団の歌唱は驚異的なレベルで
長年アーノンクールと共演を重ねているので
チョットした指示や表情に素早く反応していました。
そんなに多くを知っている訳ではありませんが、
古楽系を除くとスウェーデン放送合唱団、バイエルン放送合唱団と
TOP3を形成しているのではないでしょうか?

そしてコンチェントゥス・ムジクスの演奏の素晴らしいこと!!
1960年代~80年代の演奏は編成も小さく攻撃的な演奏で
演奏技術も現在のレベルに比べると疑問を持つところがありましたが、
主要メンバーは残りつつ、優秀な若手が入り一人ひとりが
大変レベルが高く、アーノンクールの下で完全に一つの楽器として纏まっているのです。
モザイク弦楽四重奏団のメンバーがコンサートマスターを務める
弦セクションは大変優秀で、細かい音量調節・ボーイングの変化などアーノンクールの
解釈・研究成果を表現するために全霊を傾けていました。
そして木管セクションの何と素晴らしいこと。
トラヴェルソやバセットのソロ部分では鳥肌が立ちました。
本当に幸せな気分になりました!

ソロは3人のアーノンクールファミリーが勤めましたが
シャーデ、ベッシュの2人は本当に素晴らしい。
シャーデは古典・ウィーン系の曲では
リッペルドと並んで外すことがないですね。
ベッシュもロ短調のソロも素敵でしたが、
今日は雄弁さと柔らかさを両方兼ね備えた名唱で美声を響かせていました。
レシュマンはバッハよりも断然魅力的で今日はそんなに違和感なく聴けましたが、
やはり常に続く細かいヴィブラートは小生には合わないようです。
絶賛されている方が大半なので私の感性がズレているだけなのでしょう。

こんな素晴らしいコンサートですが、客入りは7割程度で非常に残念でした。
ハイドンでこれだけ高額なチケットは余程思い入れがないと購入は確かに難しい・・・。
それに選択するのであればロ短調ミサということになるでしょうし・・・・。
しかし、今日の聴衆は素晴らしい!!
休憩前の第2部集結部や、第3部の終わりも最後の音がホールに響き終わるまで
その余韻を堪能し、アーノンクールが手を下ろして1,2秒してから
徐々に湧き上がる拍手となりました。
ロ短調ミサも一部だけ場違いな聴衆がいましたが、
今日は本物の聴衆が集まっていたのだと思います。

11月3日の日本でのフェアウェル・コンサートも
ますます期待してしまいます。