2010年10月26日 (火) 19:00 開演 (18:30 開場)

J.S.バッハ : ミサ曲 ロ短調 BWV232

ソプラノ1: ドロテア・レッシュマン
ソプラノ2: エリーザベト・フォン・マグヌス
アルト: ベルナルダ・フィンク
テノール: ミヒャエル・シャーデ
バス: フローリアン・ベッシュ
合唱: アーノルト・シェーンベルク合唱団
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
オーケストラ : ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
指揮: ニコラウス・アーノンクール

アーノンクールの演奏の特徴は何であろうかと考えると
昔はその先鋭的な印象が強くアタックの強いアグレッシブな演奏というのが刷り込みでありました。
代表は四季や旧盤のモツレクなどでの演奏でしょうか?
しかしながら、彼の演奏を特徴付けているのは
文章で言うところの句読点の付け方と言えるのではないでしょうか?
アーティキュレーションの独自性と言い換えることができるかもしれません。
今日もそのようなアーノンクールの特徴が明確に出た演奏でした。
冒頭のキリエからリヒター張りの気迫に満ちたffではなく
あくまで音の入りは柔らかくここで聴衆を威圧することはありません。
音量を押さえながらアーティキューレションを大事にしながら
前半のキリエ、グロリアが演奏されていきました。
今日はアーノンクールの指揮振りを堪能したいこともあってP席だったのですが、
流石にソロと合唱を後ろから聴くことになったので
前半は正直演奏としては少し物足りないところがありました。
アーノンクールの指揮振りもどことなく力がなく・・・・。

今日の白眉は休憩後のクレド以降のアーノンクールとCMWの演奏でした。
合唱も前半よりも充実し躍動感と共にスローテンポの箇所でも
ある種のうねりが生じてきて音楽が非常に有機的な響きとなりました。
ここから最後まで緊張感を保ちながら進みあっという間に終演となりました。

後半でのアーノンクールのオケへの指示は見ていて気持ちが良い位明確で
単に伴奏にならずオケと合唱との掛け合いなど見事でした。
シェーンベルク合唱団も名声に恥じない歌唱ではありましたが
今日は後ろ席でしたので良くは判断できませんでした・・・・
尚、最近良くある列の入れ替えはサンクトゥスの前に行われました。
これが大層見事な効果を上げていましたね。
また通常合唱のパートをソロが分担して歌っていました。
何かアーノンクールの解釈のあるのでしょうね。
ケチってパンフを購入しなかったのでその辺は理解できずに終わってしまいました(笑)

ソロではバスのベッシュが飛びぬけて素晴らしい歌唱でした。
彼のソロでは会場が惹き込まれているのが良く伝わってきました。
彼の歌唱は全く持って素晴らしいの一言、朗々とサントリーホールに響き渡っていました。
これから注目していきたいと思います。
フィンクも水準以上の歌唱でしたが、
レシュマン、マグヌスはヴィブラートが強すぎて私は全く感動できませんでした。
ソプラノは先日聞いた藤崎の方が数段素晴らしいと思います。
アーノンクールは不思議な人でソロは結構ヴィブラート系の人を平気で起用しますね。
シャーデは出番が少ないので今日はあまり判断できず。
次の天地創造に期待です。

圧倒的に感動して言葉も出ないです、というレベルではありませんでしたが
今日は素晴らしいクレド以降の演奏を聴けたことで満足しています。