ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲
チャイコフスキー:バレエ組曲「白鳥の湖」Op.20より抜粋
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」ハ短調作品67

指揮:宇宿允人
管弦楽:フロイデフィルハーモニー

東京文化会館


宇宿のこのシリーズ、珍しく東京文化会館での公演です。


オケが不安定なのはいつものことですが、

そこは宇宿の炎と演奏者の信仰に近いやる気でカバーし、

それが曲想と一致すれば熱い良い演奏になります。

今回は曲目的にそのようになる予感がして、

5階席1,500円を購入しました。


東京文化会館のサイドは斜めに向いているので

首が疲れて仕方がないのですがそこはガマン。

音自体は1階平土間席よりもやはり良いですね。

ここは席幅が狭いし、響かないのでオーケストラ演奏会には正直向いていないと思います。

逆にオペラ公演では響きすぎないところが良い結果を生むところもあり

ホールの特性というのは面白いなと。


演奏ですが、今回の招集メンバーは若い女性陣が多かったですね。

ホルンは全て女性奏者。

これが意外(失礼!)に上手く、タンホイザーでは聞かせてくれました。

前回行った時にも感じたのですが、ティンパニーの真面目そうな女性が音楽センスがあり

演奏を引き締めてくれます。


宇宿の演奏で良いと思うのは、フレーズの確かさです。

楽想をストレートに感じさせてくれます。

わざと音の入り所の打点を曖昧にして分厚い音を作り出すところは

ある意味オールドファッションですが、私は嫌いではありません。

タンホイザーは弦の刻みも機械的でなく音楽になっていました。

響かないのはオケ・ホール双方に起因しますが、

音自体は芯があったと思います。


続く白鳥の湖は文句なく素晴らしい演奏です。

悪口ではなく中規模の劇場のバレエ公演でのベテラン指揮者による演奏のようで

これは本当に楽しめました。

(本当のバレエではとても踊れる演奏ではありませんが(笑))

特に終曲は素晴らしい!

只、コンミスとチェロトップのソロは冷や冷やもので、

音程があまりにも危なっかしく変な緊張感がありました。


最後の運命は最初のジャジャジャ、ジャーンの溜めるところが懐かしい響き。

宇宿らしい演奏でしたが、演奏自体は白鳥に大きく譲る印象です。


演奏後、恒例の宇宿の話が始まりました。

音楽だけではなく政治なども絡めたある種漫談的なギャクも入る演説のようでした。

御大も運命の演奏には不満があったらしく、愚痴をこぼしていました。

(アンコールはハンガリー舞曲1とバーバーの弦楽のためのアダージョ。)


次回は田園のようですが、最初に記載したように、

宇宿と田園はピンと来るものがないので次回はパスです。


・・・遅くなりましたが、皆様今年も宜しく御願いします。