第1046回定期演奏会Bシリーズ

日時:2026年6月19日(金) 19:00開演(18:00開場)
場所:サントリーホール

 

指揮&ヴァイオリン*/ペッカ・クーシスト

 

シベリウス:組曲《恋人》op.14*    
アンデシュ・ヒルボリ:バッハ・マテリア(2017)*[日本初演]    
アンドレア・タッローディ:きりん座(2011)[日本初演]    
シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82

 

2028年4月から都響のシェフに就任予定のクーシスト、それまでの2年間はアーティスト・イン・レジデンスとしての位置付けとのこと。それにしても2年後の就任、日本では指揮者としては決して著名ではないクーシストを登用した都響、ここ10年ほどの好調期を経て、かなりの大勝負に出ましたね。

 

名曲路線ではないクーシスト、レパートリーの中核も正直見えていませんが、今日のプログラムは、彼のやりたいこと、これからの方向性を示しているのかもしれません。

 

メインのシベ5がどのような演奏なのか注目していたのですが、この点については、やや肩透かし。フレーズ毎のスラーはつながっているのですが、全体的な構築感はかなり後退。シベリウスの交響曲でも押し出しを効かせることができる曲ですが、その点はほぼ放棄状態で、満足感が得られないというか何というか。冒頭の恋人、これはどうも抒情的な旋律をいかにもセンス良く纏めたもの(元は合唱曲)ながら、それ以上ではない作品かと。

 

ところが、いわゆる現代曲2曲が非常に印象的。最初のヒルボリのバッハ・マテリアル。ブランデンブルク協奏曲に合わせた曲ということで委嘱された作品とのことですが、バッハ作品の断片も取り入れつつ、非常にうまく構成された曲。冒頭チューニングをしている風から開始する音楽、小さな風が集合するかのように発展、クーシストのヴァイオリンも表現力豊か、コントロバスとのジャズセッションのような即興も素晴らしい。最近聞いた現代曲では一番面白く聞けたかも。

 

後半冒頭は、女性作曲家で当日も会場にいたタッローディのきりん座という作品。キリンの背中に乗った夢を音楽にしたもの。途中で現れるファゴットがキリンをイメージしたものだそう。きりん座という、長野まゆみっぽいネーミングが造語かと思ったら、ラテン語で該当することがあるそうですね。8分ほどの曲ですが、きりん座という印象的な言葉とつながる優れた作品でした。

 

ということで、当初予想とは異なり、ヒルボリとタッローディの作品に感心したコンタートとなりました。今シーズンはクーシストは登場しないようですが、来シーズン、まずはプログラムに注目しようと思います、では。