「こんなことって、あるんだろうか?」そんな言葉がでてきそうな1~2ヶ月でした。すべては「なっちゃん」と呼ぶ13歳の女の子から始まりました。
なっちゃんは2006年8月17日、夏真っ盛りの暑い体育館でバーレーボールの練習に大汗を流し、脱水症状から意識が遠のき倒れてしまいました。救急車で総合病院に搬送され緊急処置を受け、検査の結果「もやもや病」の疑いもあったが「脳梗塞」と診断された。血栓溶解剤(血液をサラサラにする)を服用。
これまでと同じように、話すことや食事をすることには問題はないのですが左半身不随という13歳の女の子としては辛い症状を抱え、医師からは「左手、左足は恐らく、もう動かないでしょう」とも告げられました。
なっちゃんの祖母は「なぜ、なっちゃんの若さで、脳梗塞なんだろう?しかも半身不随の後遺症だなんて…代われるものなら、代わってあげたい」とその夜は、目が赤くなるほど泣きはらしたそうです。
祈る日々が続きましたが、明るい兆しはなかなか見えてきません。私がなっちゃんの話を聞いたのは、そんな時でした。生まれた頃から成長を見守ってきた、お隣の山崎〇〇さんからでした。
「脳梗塞なんだけど、足もみはどうなのかなぁ?」
「早ければ早いほど、いいと思うよ」と私。
「じゃあ、話してみる」
日頃から人付き合いを大切にする彼女は、いつもながらスピーディに対応してくれます。
「ワラにもすがる気持ちで…お願いします」となっちゃんの祖母。
9月8日ICU(集中治療室)病室に山崎さんと入っていきました。実際にあってみると想像以上に元気で活発に笑う普通の中学生です。左の口元が少しだけ歪んでいました。右足から揉み始めます。敏感に反応します。拇趾・足趾全般・土踏まず・踵周辺・・・甲側・脊柱・下腿部・膝裏どこを揉んでも、少しの刺激で痛がります。「イッテー!」「信じらんなーい!」そんな、どたばた劇です。続いて左足です。恥円は何の反応もありませんでしたが、一呼吸、二呼吸と刺激を深くしてゆくうちに本人の意思とは関係なく足が勝手に反応してきました。その時間は五分とかかりません。
最後に膝裏や股関節周辺をポイント的に押圧してゆきました。「なっちゃん、左足上がるかな?」そう促すと、全く動かなかった左足は20cm.程度でしたが、挙上しました。それを目の前で見ていた祖母も山崎さんも「なっちゃん、上がってる、上がってる!」「動いたよ、すごいねー!」
その後、祖母による毎日の足もみで見事に回復してゆき、一週間後には歩行訓練がスタートしました。これが若さゆえの回復力だろうか…そう思わずにはいられませんでした。
宮崎昭好【千葉県 ひろを姿勢均整院】
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