コピーライターの著者が教えてくれるネットショップ等でのセールコピーの書き方の本です。

 

本文はキャラクター同士の掛け合いで、読みやすくまとまっています。

図や用例も多くのっていて大変読みやすいのです。

 

が。

 

中身はけっこう高度でした。

広告の知識がある人向けかなと思います。

 

ただ、読みやすいことは間違いないので、うっかり会社でネットショップの担当になったとか、セールレターを書かなきゃいけなくなったという人はまず手にとって、言われたとおりにやってみることはできるでしょう。

 

試行錯誤を繰り返した後、そういうことか!と気づきがあるような本な気がしますね。

やっぱり習うより慣れろです。

困った時に開くといい本かも。

 

私はなんかブログの参考になるかな?と思って読んでみたのですが、普通のブログの文章の参考にはならなかったです。

でも、勝手に送られてくるDMはこういう理論で書かれているんだなとかそういう部分で面白かったですよ。

 

 

 

『ポチらせる文章術』

 

 

 

『線は、僕を描く』の続編→感想はこちら

前作より二年。

主人公の青山は大学三年生になり、水墨画も続けている。

将来の進路、思うように描くことのできない自分、そしてまだ向き合うことのできない両親の急逝。

上手くいかないことのほうが多い学生生活だが……。

 

前作と同じく、今回も青山、そしてその周りの人たちの再生の物語です。

一応、この本だけでお話は成立しているけど、前作から読んだほうが絶対いい。

 

青山たちの成長や再生はもちろん、小説として作者の成長もうかがえるからです。

繊細でいてダイナミックな描写。

水墨画の世界とリンクした内面世界。

いわゆる大きな事件は起こらない話ですが、青山だけではなく登場人物の心理描写がすばらしいです。

 

特に偶然にも亡き母の職場であった小学校のシーンがよいです。

息子である青山だけではなく、同僚の先生や教え子たちも「先生の死」に向き合う悲しくもでもどこか心が洗われるような美しいシーンがあります。

青山は子供たちの存在に癒やされているのですが、青山の存在もまた他人の救いになっている。

 

その事実を、物語の最後の最後に青山は実感するのです。

涙……!

 

「水墨画」という題材だけど、その世界を知らない人も青山の世界との向き合い方に共感するのではと思います。

青春物語でもあり、生きることはなにかという全ての人に降りかかる問題を美しい筆致で描いています。

コーヒーを飲みながら、じっくりこの世界に浸りたい、そういう小説でした。

あと、このお話、悪い人が全然でてこないんですよ。
登場人物みなが、自分の世界に向き合っていて優しいのです。
だから、疲れている時にも大丈夫です。

『一線の湖』

最近人気のモキュメンタリー形式のホラー小説の火付け役となった作品だそうです。

評判を聞いて、公開されているカクヨムで読もうとしたんですけど、BBAの私はネットで小説を読むのになれていなく、結局本(文庫じゃないほう)で読みました。

本ならではの仕掛けもあるんで、これは物体としての本で読んだほうがいいんじゃないかな?

 

ライターである「背筋」は若手の編集者からホラー系のムック本の内容について相談を受ける。

それは近畿地方の●●●●●という場所に関する話だった。

 

この●●●●●にまつわる怪異を、雑誌の記事だったりネットの書き込みだったり、インタビュー形式で紹介されていきます。

いろんな形式で、テキストが展開されるのでそれを読むのも楽しい。

個人的には80年代のB級雑誌の記事が、いかにもそれっぽいテキストで楽しかったです(年寄りの感想です)。

 

挿絵の使い方もうまいので、「本」で読んでよかったと思いました。

なんか文庫だと、けっこう内容が違うって聞いたんだけどほんと~~? どういうこと?

 

小野不由美の「残穢」もそうなのですが、一番怖いのは……というお話でした。
けっこう怖くて(びょんびょん女が怖い)楽しめましたよ!

 

 

【近畿地方のある場所について】

女性の50代前後といえば更年期世代。
エッセイの名手である著者が日常を熱くもなく冷たくもなく、まさにぬるくちょうどいい温度で綴っています。

久し振りの群ようこさんのエッセイ。
「本の雑誌社」に勤めていた時代のエッセイは、若い時に読んでめちゃくちゃ面白かったです。
その頃と変わらず、淡々としつつもおかしみのあるテキストで「ちょっとー久し振り~~元気だった? かわんないねえ」と街で旧友にばったりあったような気分で読みました。

とはいえ、この本は20年前に出版されたもの。
群さんが50代にはいったばかりの頃のお話で、まさに今の私の同世代。

今、群さんはどうされてるのだろう、ちょいちょい本を出されているのは知っていたのですが、ぐぐってみると、2026年も新刊を上梓されていて、ご活躍でした。

70代になっても、きっと日常を愚痴りつつも面白く書かれているのだろうなあと想像できます。

女性のエッセイの名手は沢山いて、ライフスタイルの憧れになっている方いますよね。
でも、けっこうセレブな方が多いんですけど、群さんは等身大の文系独身ギラギラしてない系女子として、最高峰な気がしますね。
※ギラギラ系、キラキラ系はいっぱいいるんよ

今後の人生の参考にさせていただきたい。
こういった先輩がいるのは、心強い。

9784022616555    ぬるい生活 (ヌルイ セイカツ)    朝日新聞    朝日新聞    

仕事と登山。

とある出会いが、主人公の精神を変えていく小説らしい小説でした。

 

六甲山近辺を舞台にしたお話で、30代(多分)の主人公・波多は、会社の人間関係構築のために社内の登山グループに参加する。

そのグループとは関係なく一人で山に登っている、職人肌の営業・妻鹿(めが)の存在を認識する。

 

腕は確かだが会社のルールに縛られない、そして登山のルールの縛られない妻鹿のありように心が惹かれる主人公。

会社は、いろいろあって業績が傾き、社内の雰囲気もよくない。

転職して新参者の波多も先行き不安である。

 

主人公の波多は、まあまあ理性的で一般的なサラリーマンとして描かれている。

群れるのは好きではないが、社内になじむために登山に参加する社交性もあるし、家ではそれなりに家事もやっている、令和ではよしとされる30代男性といった感じ。

邪悪でもなく、正義感もなく、悪い人でもとてもよい人でもない。

友達にいたら付き合いやすそうな人間。

 

世の中からはみ出してるっぽい妻鹿に惹かれ、そして反発するのも当然といった主人公で、平均的なサラリーマン。

 

山の描写が緻密で、自然の描写もうつくしい。

作者の実体験が元になっているだけあってリアリティがある。

山のぼりをたしなんでいる人なら、とても楽しめる。
ピクニックすらしない私ですら、楽しかったです。

 

(比喩的に言えば)波多は、一度山で死に生き返る。
大人になるためのイニシエーションを妻鹿によって与えられる。
なので、導いていくれた妻鹿と別れるのは当然なのだ。

それにしても、(それが主題ではない話とはいえ)波多の中での、妻と娘の存在の薄いこと。
妻と娘の知らないところで、夫や父は、勝手に生まれ変わっているのです。
まあ、いいんだけどさ。
そんなところも日本の男性っぽいなと思った。