こんばんは。



 私、小中学は卓球部だったんですよね。

 中学の頃は卓球道場で夜9時を超えて高校生に胸を借りるくらい、のめり込んでいました。

 なんせもろもろの事情を呑んで高校以上は既に諦めていたので、中学でどこまでやれるか、もう一生ぶんの卓球をやり切ろうという気持ちでした。


 卓球の試合を観ていただくと分かる…のでしょうか。場所にもよると思うのですが、卓球道場は特に、床があまり立派な体育館のようには硬くなく、ある程度は空洞をたたえていたので…また、たとえ体育館であっても…私のドライブやスマッシュなどを打つときの前足の踏み込みたるや、結構な音を立てていました。ドン!!バン!!と。

 先日の白鍵♪エリーゼのために のレポでおわかりでしょうけど、普通か、繊細な精神なら、かすかなふるえも逃すまいと集中したい場合にジェット音なんかで空気を強く下されると、気持ちが凹みます。忘れっぽくもなり、どの小節まで進んだかもすぐ記憶から飛びます。

 私は中3で卓球部長に任命されたからには一応、部員が強くなれるよう、いろんなメニューとか提案できる優れた頭脳のリーダーになりたかった。でもまぁ無理でした。脳ミソ働かないんですよ。いまの自転車に関してメニューをあれこれ自分でこさえる調子が中学で、卓球部でできていたらとても面白かったろうになと思いますが、まぁほんと無理でした。ただただド根性でプレーするだけ。ただただ引き継いだメニューを何とかかんとかやるだけ。立派なユニフォームを着て卓球ができるよろこびに、轟音から逃げ込みたかった。轟音に負けずに卓球ができる喜びをせめて、一所懸命、そこに存在させたかった。私はそこまでで精一杯でした。


 ドン!!バン!!


 踏み込み足の強さは自転車のときにも自覚していて、どこからその瞬発力を出すのか、自分で不思議になるくらい、宙空にいるはずの脚腰を地面に向かって突き刺せたんです。その頃は。

 そしてまぁ、競輪場に出入りできるまでの長い間もそれを忘れずにやってこれていたはずでした。

 それが…。


 初めて久留米で認定ピストに乗ったとき、てんで使えなかったのです。公道では未だ使えるほどなのに、競輪場で使えない。


 すり鉢状の走行面のせいだとも思いますが、もっとも難を感じたのは構造物としてのバンクのあり方でした。

 鉄筋コンクリートなんですよね。

 意外に薄いコンクリート部分を、裏や下で鉄筋が支えている。

 たとえばバンクの一番上を走ると、地面までものすごく遠いんです。卓球道場の床の空洞の比ではない。しかも、空洞というよりはオープン系。床や地面(アスファルト)みたいには踏み込んだチカラが返ってこない感覚です。


 すごくかんたんにいうと、足元を掬われ続けている感じ。もう少し言いたすと、宇宙空間に投げ出されたような感じでした。



 中年に仲間入りの年齢だが、この踏み足の強さで競輪界に殴り込みだ!とか思っていたのに、フレーム設計も踏むペダリングには適していない設計でオーダーしてしまったらしく、それもあいまって鉄筋コンクリートの上で足がずーっと重みなく、スカスカ空回りしている感じでした。


 そして皮肉なことに、いまやっているバイト先でも一部それとそっくりな鉄筋の上の意外とうすい鉄板床での作業がありました。鉄板床はたわむんです。バネみたいに戻って来るぶんもあるんです。足がふわふわするんですよ。こっちが真面目に腰を入れようとしても落とそうとしても全部スカされる。ふわふわっ、ぶわぶわっ、と。


 そもそも怒りをためこんだ低空飛行区育ちで、耐えに耐えて実家を出たのに、実子誘拐だなんてほんと、なんなら関係者全員皆殺しにしたいくらいに極悪非道なことをされてしまって。それでも私は犯罪者にされ通しなんてまっぴらごめんなんですよ。向こうのオヤヂを一人3階から投げ飛ばしてぶっ殺しても、実子誘拐されたらそれくらい怒って当然だよね、いやむしろ柔道経験ある飲酒運転常習者をよくぞぶっ殺してくださいましたご立派ですぞあなたは男ですぞ!なんて褒めてくれる人が私の刑務所入りを阻止してくれるはずもないでしょう??


 だから私は殺気をおさえ、殺気を消して、殺気を使わない理論づくの技能で、自転車選手としてもっと出世していきたかった。あんなクソドモのことは記憶の彼方に押しやって。それが実子誘拐されてから大量に綴った当ブログ、その 自転車考 ですよ。


 けれども、競輪場の鉄筋コンクリートも、バイトでのブワブワ鉄板床も、私の腰をスカしてスカして、まるで私の長年の理性と努力とを蜘蛛の糸のようにして群がる魑魅魍魎のようにして、私の存在意義を宙空に浮かし続けました。


 今夜、重力が無いんだよ、地面のアスファルトのように地球という質量が無いんだよ。薄いコンクリートの上でふわふわと…、足で叩きつける重力が無いんだよ…!!と考えに考えたすえ、その魑魅魍魎にもういい加減、腰をスカされ続けている場合じゃない!!と決心したんですよね。

 それで、私は鳩尾から下の下半身すべてが魑魅魍魎もろとも消滅してもいいくらいのつもりで、殺気を下半身以下に真っ直ぐ放ちました。脚を通して垂直に、殺気を。


 すると、ふわふわぶわぶわの鉄板床の上でも、ふつうの床を歩くような確かで強めの踏み込みができるようになったのです。

 薄い鉄板床でその下は鉄筋なので、一歩踏み込むごとに大袈裟にズシン!ズシン!と音が鳴り、その床の上のモノはぶるるるるるんっ!と震えていました。しかし、もう魑魅魍魎に捕まりたくない!そういう気持ちでしばらく殺気を下半身以下に向け続け、足をしっかりと踏み込み、その感触を忘れまいとしました…。





 昔のは、殺気を込めてできた踏み込みでは無かった気がします。けれども飛行機の轟音はそれそのものが下方に向かう殺気です。




 …。








 スマホの充電が切れそうなので、今回は尻切れトンボな文面になりますが、ここで記事を終えます。

 綴るべきことは綴りました。


 私は今一度、強い踏み込みでもって、鉄筋に宙空に浮かされてすら可能な、深(シン)・踏み込みでもって、近いうちバンクにリベンジしに行きます。









√5





那向