実子を誘拐された、
家族を壊された哀しみが…、
裁判判決直後以来、
何年ぶりにか泣いた。
直後ほどのとめどない涙では無かったが。
というのもこの泣きは、
椅子に座ることすら憚り、
いつでも腰に根拠を求め、
気張り続けて生きてきたために、
ほぐすことも忘れて硬くなり続けた箇所を、
身体の要訣を、
ようやく、ほぐすことを覚え、
ゆるしたという、
37年ぶりの、自己理解と言えるため、
失ったもの、
返してくれという切望だけではなく、
やっと自分で自身を手に入れたという、
安堵の涙でもあったからだ。
バイト中、2年か3年ほど前から、
できるだけ椅子には座るように、
空気椅子はしないようにし始めたが、
昨晩、
腰のその箇所が脱力しないことには、
完全にはエアサス座面は沈まない、
つまり、
完全には座れないこと、
脚が休まるわけではないことを知った。
腰。
腰が強すぎた。
腰が、硬すぎた。
この腰を柔らかくしなければ、
瞬間最高速も上げられないだろう。
逆にいえば、私の場合は、
この腰を柔らかくしさえすれば、
瞬間最高速を上げられるだろう。
自ら放った水龍神の怒りは、
無限遠を経て自身の背面から、
腰のド真ん中に激突した。
子供たちが柔らかくしてくれるはずだった、
私の強張りを、
電器がほぐすことに、
かなりの情けなさを感じつつも、
それだけ強張らせて、
数々の無理難題を捌いてきた、
頼もしさの裏返しであることを忘れない。
追記:最初は愚直にもうつ伏せで背中に手とボディローラーをまわして腰に当てていたが、左半身を下にして横向きに寝て、右手で腰にボディローラーをまわして当てるほうが全身リラックスできるとわかった。ほんとに、なんでもかんでも腰を落としたり腰を入れたりしてやってきた私だから、そこに当てるだけで手足もすべてほぐれていく。家に帰っても決して休まらない、という私の暮らしの難点を、これで壊せた。