こんにちは。

自分としては、おもしろいことを思いつきました、水本樹人です。



 プロのペダリングをもっと存在そのもののように満ちたものとしたい…そのための鍛錬は筋トレのほかに無いのか。

 もっと自転車に乗って、その向上を望める練習方法は無いのか。ローラー台用のアクセサリーを買えばいいのか、固定ローラー台と3本ローラー台を無理やり合体させる改造をすればいいのか。あれも違うそれも違う何かないのか何かないのかと考えた末に、ふと、周辺視野に入っていた、最近乗っていない GIANTバワリーの、チェーンと前後車輪の無いざんがいを活かす気持ちが涌いてきました。


 これ…、車輪はつけてもチェーンは付けずに、ペダルを外して大人用 ストライダー にできるんじゃないか。いま私が求めているレベルアップとは、まさにその練習によって得られる部分ではないか。



 考えてみれば私は昭和時代、子供の頃に姉に練習につきあってもらって、じつをいうと命がけで自転車に乗れるようになりました。補助輪を外して行う練習で、後ろの荷台を掴んどいてあげるからちゃんと両足をペダルにのせてごらん、というものでした。

 姉はほどなくして荷台を無言で放したんですよね。私は…ボクはそれに気づかず、いつの間にかすごい後方で姉が言う「乗れてるよー」という掛け声で乗れていることに気づいたのでした。

 なんで命がけかというと、その直後か数日あとかはわかりませんが私は、乗れたはいいけれど勢い余って向こうの交差点を過ぎて下り坂に入り、5号線 (県道31号線) では無いものの車通りが家の前よりは明らかに多い街のメインストリートにまで、止まれずに転がり進んでしまったことがあったからです。

 ブレーキレバーの使用方法をギリギリ思い出せたからかメインストリートを横切って向こう側の歩道の段差にぶつかったからかで止まれたのですが、あれはほんとうに、自動車が横から来ていたら即死しかねないシチュエーションでした。


 その頃、ペダルの無い自転車、ストライダー(は商標なんでしょうけども)なんてものは無かったんですよね。一部の玄人すじではペダルなしで練習するとバランス感覚を養えるってのは知られた話ゃったかもしれませんが、私の住まいや家族にはその情報は及んでいませんでした。インターネットも無いし、スマホも勿論ない時代ですよ。

 話は少しそれますが、補助輪というのは倒れにくくはしてくれるものの、決して乗り手の意に添う効果ばかりを発揮してくれるものでもなくて、補助輪があるがために躓いて横転するなんて転び方もあるにはあるんです。

 後ろにつけた左右の補助輪がつかないようにする走りができていれば補助輪を外しても乗れる、というのが補助輪ありのときの練習で、そこから片方ずつ外す…どっちから外すべき?なんてことも考慮されず。上記の方法で補助輪なしで乗れるように、親から「まだ補助輪ありで乗っているのか」なんてコバカにされキッカケで練習を始めたのでした。


 ストライダーが出て、いまの子たちは何度も何度も横転して擦り傷作ってってな練習はしなくてよくなりましたよね。自転車に乗れるようになろうってのは最初、ものすごいストレスを乗り越えねばならなかったものが、とても簡潔になりました。ストライダーで遊んでいれば自然とセンスが身につくってわけですから。


 はい。


 そういうわけですよ。


 自転車乗りとしての私に欠けていたもの…私は昔の価値観からすれば何一つ欠けていないはずの下積みがあるんですけど、今の価値観からすれば、ストライダーも乗ったことがないの!?ってな、初心、基本がまるでなっていないていう、かなりしょっぱい事実があるのでした。


 それを。


 ジャ、イまからでもアンを練って習ってみようト、そういうバワリーです。



 サドルを低めにすれば足も届くでしょう。クランクを外すのは手持ちの工具ではネジナメのリスクがあるのでそのままにしておいて、そのぶん左クランクにウエイトリストバンドなどを絡めて左右バランスを取るようにすれば良いでしょう。

 なんなら左が少し重たい状態にして左足が頑張らねばならないシチュエーションにするのもわりと競技場を意識した鍛錬になって良いかもしれません。


 自転車を信用し、自転車が進むぶんに身を預けながら、テキトーにあちこち伸び進んでいこうという態度は、テクニックを突き詰めて突き詰めてきた今の私に最も欠けている部分であります。欠けているというより、やったことなかった練習方法なんですよね。


 ピスト競技的にいうと、おそらく足を止めてスイーッと進むこと自体よりも、足が路面に届く腰の高さで自転車を制御しようとすることが好ましい鍛錬になるかと思います。

 腰を高くして乗るのは登り坂に、低くして乗るのは下り坂に適していますが、それはペダリングのさなか仮想的にすらできることです。仮想的に腰を無限に高くしたり低くしたりできてしまうことが、じつはピスト競技においては基本軸を迷走させる原因になっているのでしょうから。


 もう、背丈が小さい頃に戻ってストライダーを練習するってことはどうしたってできませんけれど、子供用自転車でそれをするってことも、道具にこめられた気持ちを大変に裏切ることですからできませんけれども。

 余らせている大人用自転車をペダル無し状態にして今の体で地に足つけて鍛錬するというのは裏切りでもなんでも無いので、いざ、やってみたいと思います。

 せめて大人の面目として、靴はナイキインヴィンシブルランにしときますかね。ヌルフフフフフフフ。






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南無醒案仏