ライブではしっかり声を張っている野田洋次郎て感じ。しかしそれだけのオーディエンスが一緒に歌えばそらすごい声量になるわな。
 だいぶ音楽から離れて暮らしていたから、このカリスマ的な正義の青年の声が、悪魔的に聞こえてしあない。

 強くなる、て、さあどうしたら。
 強くならなくちゃといわれた。
 言ったひとは僕がうまれて初めてくらいに嫉妬を感じた瞬間に燃えていなくなってしまった。
 どんな強さならお気に召すのですか。
 オレはBUMP OF CHICKENがでてきたときにはこりゃもうオレはオッサンだな、もう出る幕ねえな、と思ったもんだよ。そのとき20歳だったとおもうがね。でもね、RADWIMPSが出てきたから、あら、まだオレの出番があんのか、と思ったの。みんな、似てようが同じだろうが、気にせずそれぞれカッコつけたり楽しんだりしてらー、とね。
 オリジナルでなくちゃいけないって思ってた。オリジナルってなんだって、独り善がりも忘我や無心や自己犠牲もかんがえた。もちろん日本人であることも、大和の者であることも、ホモサピエンスでないかもしれないとも考えた。誰も詰めていないとこを詰めて独自の音楽を1000人未満に発表した。乗っかってないから、つまりノリが悪いから全然流行りゃしなかった。ほとんど流行らせようとも思ってなかったけど。
 オリジナルって強さだと思ってた。
 でもオリジナルを極めたら、誰もオレがオリジナルだなんて気づいてくれない有り様だった。早い話がカネになんないから、続けられなかった。
 強さは、それを受けたひとのリアクション次第では弱さになります。いま飲酒運転に怒り心頭なわけだが、その怒りにふれた嫁から怖い怖いと言われて逃げられている。ひとりで耐えている。負けずに、無為の謝罪もせずに、耐えている。それをまた、怖がられて奪われ続けている。親である権利を、子供らを監護する権利を。無視され続けて、人である権利も奪われ続けている。
 それでもこうやってライブ盤のRADWIMPS聞けるのが強さなんかな。一人で聞きながら、CDから聞こえる聴衆の歓声は自分に向けられているんだ、それくらい強引に勘違いする。いやはや、たぶんお気に召す強さの部類なんでしょ?これが。これが。

 女の人たちは、男を馬鹿にできたり、無視できることが強さだと勘違いする歴史を紡いできた。なにも変わっていない。ずっと昔から。でも男は変わってきた。男はもう戦争をしないだろう。オレはそう思うよ。だいぶん長い間、戦争せずにこの国にいる。それは強さだ。
 男たちは強くなった。
 ときどき女の向こうでほくそ笑む男と戦っているのを忘れた男が間違って女を殺しているようだが、そりゃ女が変わらないでいるせいやないか? 変われよ、女も。戦争のない文化を生きろよ。あいつなんか消えてしまえばいいなんてオチを待たない前提を携えろよ。
 そうさあのひとも言った、女も強くならなくちゃいけないんだと。そうさそうさそうさ、そういうことさ。
 人を打倒すればいいなんて強さは、もうこの戦争なしが前提の世界では弱さでしかねーんだわ。みんなで仲良くできるためにはどうしたらいいのか。そのためにすり身の精神になったって真実を語り合う。それが強さだろうがよ。
 弱い!
 弱いぞオレの嫁!
 強くなれよ!
 オレのとこに、オレの床に帰ればいいだけ!
 それだけ!
 それだけで強くなれるんだよお前は。
 
 酒飲みジーサンの改心を、皆で迫ろう。
 飲酒運転をやめさせよう。
 オレは酒に逃げるジーサンを憐れにおもう。
 酒に囲われ孤独なジーサンを憐れに思う。
 お前はなぜそんなに冷酷でいられる。
 殴られたからか蹴られたからか。
 そのジーサンに傷つけられたからか。
 ならお前の出る幕じゃねえ。
 オレがお前とジーサンの間に立ってやる。
 だから帰ってこいよ。
 お前が帰ってこなけりゃ、お前はジーサンの下僕でしかねえのさ。お前はジーサンの盾になっている。俺達の子供たちまで巻き添えにして。バカ以外にお前をあらわす言葉がないかもしれんくらい、お前を愚かだとおもう。ジーサンの敵はほんとうはオレじゃないのだから。

 オレはお前の背骨の歪みを間違っていると言ったことはない。最近、内臓が左右非対称だから、空腹時は左に背骨を歪めるくらいがじつは骨盤や脚には均等に重さがのっかるという真実に気づいた。お前は粗食だ。細い。お前をがり痩せと思っているひとは多かろう。その体躯はお前の親のせいだ。お前の親はお前を大事にしなかった。だが、大人になってからは、それはお前自身のせいになっていく。お前ががり痩せなのはお前自身がお前を大事にできていないからだ。決して美談の根性あつかいはできない。それだけお前は違法行為をつづけて安寧のなかにいるつもりであるのだから。
 オレは、お前の背骨がまっすぐになっているときもみた。オレがお前を心配し食べさせ、お前がその心配にこたえて食べて、元気だったとき、お前の背骨はまっすぐになっていた。それをオレはちゃんと見た。貧乏も金持ちも、キャラクターなんかじゃねえんだよ。お前、お前自身を心配しろよ、オレを切り捨てることに精力もやしてねーで。背骨しゃんとするまで、食えよ、食えよ、食えよ。
 そしてしゃんとした背骨で世界をみろ。
 オレはお前の目の前にしかいねーはずだろ。
 
 オレは既に強い。
 でも、さらに強くならなくちゃならない。
 RADWIMPS。
 やるだろうということしかやってねえ。
 つまんねえ。
 さすが新世代だな。
 つまんねえよ。
 オレもそう思われてんだろうよ。
 強くなるにはどーする。
 この寒夜空の下で走ればいいのか。
 裸で?
 違うな…。
 カロリー、たくさん溜め込んで、どう使う気だ。
 筋力トレーニングか。
 音楽か。
 野田洋次郎がベラベラ喋る。
 暖房なんか効いてねえよ。
 寒いな。
 
 たぶん、オレがお前をほんとうに捨てた瞬間、お前は消えてなくなる。あのひとのように。オレはあのひとを愛してはいなかった。愛そうと思った。だがふとした瞬間忘れた。あのひとを存在だと思わないほどプライドをきずつけられていた。そのことに、あのひとが死んでから気付いた。それでも自分を大事にしなくてはならないのに気づくまでそこからさらに何年もかかった。自分を大事にするものがなにか、まだ学んでいたから。そう、いつかは決めつけなくちゃいけない。いつかは決めつけて学びを脱しなくちゃいけない。ひとは24時間営業年中無休のコンビニ学者じゃいられない。
 
 RADWIMPS。
 野田洋次郎が強くいられるのにその晩、さいたまアリーナがいっぱいになる人数+、こうやってCDで聴くもの、テレビで伝えられて聴いたもの、噂で聴くもの、伝説を聴く者、どれだけ多くの人間がひつようだったのだろう。必要になるのだろう。カラオケで再現できるわけがない。とーぜんだ。

 いつか消えてなくなるきみのすべてをこの目に焼き付けておくことは、も、権利なんかじゃない、義務だと思うんだ。

 ならばブログならどうだ。
 オレだって言葉なら得意だ。
 借り物の言葉だとおもうか?
 オレの本心だとおもうか?
 とーぜん、いまオレのキスを受けられないお前には、それを選ぶ自由があるという一択しか選べない。
 お前は不自由なやつだ。久美子。
 オレはどうやって強くなればいいかな。
 お前のぶんまで自由になればいいのか?
 ギター桑原。
 桑原は、いわばオレの旧姓。
 お前は、桑原樹人のほうが好きか?

 走ればいいのか。
 凍傷をつくればいいのか。
 ケガすればいいのか。
 事故にあえばいいのか。
 事故にあっても走ればいいのか。
 得体のしれない霊体になればいいのか。
 さあて寒いな…。

 あいかわらず備忘録してやるか。
 【回転する腹時計】は、スピニングバードクロックってルビをふったぞ。
 なかなか便利なPRIだ。
 じっとしてなんかいないんだって。
 そうおもえる。
 踏んだらタックル、からの〜、幼い少年のケンケン乗り。
 いまや、【左にまんま、ズレるだけ】で合格だ。
 事故には、もうあいたくないな。
 2年連続だぜ?
 お前がオレをバカにするたび、オレはクルマに轢かれてきた。
 そのままお前がオレをバカにし続けても、オレはもう事故にあわない。もうさすがに、てっていてきに守りに入ってるからな。
 今度ひさんに事故にあえばもう諦めるのさ。
 轢き殺しに来るか? なんなら。
 
 さあ、なんか食うか。
 強くなるために。