運転士さんが前から後ろへ。
スイッチバックの大畑駅では、運転士さんの準備が整うまでの待ち時間に、こうして駅の醸し出す郷愁に、
身を委ねることができます。
壁面にびっしりと貼られた名刺。
ここに名刺を貼ると出世するとか。
根拠は知りませんが。
だけど、少し信じてみるのが旅人の旅心というものです。
肥薩線を走る観光列車、いさぶろう・しんぺい号。
この列車の名前は、人吉から吉松までの矢岳越えの鉄道が開通した当時の、通信大臣が山縣伊三郎で、鉄道院総裁が後藤新平だったことに由来しています。
ところで、大畑駅はループ線とスイッチバックを併せ持つ、日本で唯一の駅なのです。
雄大な曲線を描くレールは、過去と未来とを繋いでいるようです。
そろそろ発車の時間です。
アテンダントさん、この先の旅路もどうぞよろしくおねがいします。

大畑駅の風景とそこから醸す薫りは、それを愛でる人々が集う限り、これからも守り続けてほしいものですね。