キング・オブ・夜行バスと言われる「はかた号」に対して、東日本のクイーンと呼ばれる夜行バス。
「ノクターン号」弘前行。
走行距離は600㎞超。クイーンと言われる所以です。
品川駅の喧騒から離れたところにある、品川バスターミナルから発車します。
3列シートの車内。
隣席とはカーテンでプライバシーが保たれますが、席も若干ずらしてあるところに細やかな配慮を感じますね。
スリッパやブランケットも装備されていて、快適な一夜を過ごせます。乗り込んだところから弘前を感じてしまうのは、地元密着の証ですね。
クイーンであるのは走行距離だけではありません。
●運行開始は1986年。
まだJRが国鉄だった頃。2016年末には運行30周年を迎えました。
●大都市と地方都市を結ぶ初の夜行バス。
通年運行では初めでのものでした。時刻表にも長距離バスのページがまだなかった頃のことです。
●スーパーシートの導入。
2012年に廃止されてしまいましたが、豪華な2列シートは元祖アッパークラス。

そもそも、運行開始当時はまだ東北新幹線の終点は盛岡でした。弘前から盛岡までバスを運行していた弘南バスは、お客様アンケートから、盛岡より先、東京まで向かう一定需要に目をつけ、京急とともにノクターン号を運行を開始したのです。

さらに思い返せば、その頃の国鉄では、夜行座席急行の津軽、寝台特急あけぼのが弘前方面と東京とを結んでいました。そこへ夜行バスのノクターンが参入したのですから。30年前、東北への夜行列車が全廃されて、新幹線は函館を結んでいる現在の交通地図など想像もつかなかったはずです・・・。
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と、夢うつつ。
運転士さんはツーマンで、途中3回の交代をしていますので安心・安全ですね。
そのうちのラスト1回、紫波SA。東北道を快走し、もう岩手県。ここで開放休憩です。
かつては目的地まで熟睡してもらうべく、開放休憩がなかったとのことですが、足を地につけ、背伸び、深呼吸。これが気持ちいいのです。品川以来の外気が岩手県であることに感無量。放浪癖が満たされる瞬間。私は一瞬で生まれ変わります。

目覚めれば、窓外の景色が気になります。
東北らしい、深みのある景色。
鮮やかな日の出。
新しい1日のはじまりです。
夜明け前の町が、確かに動き始めている。
その温度を肌で感じられるのが、夜汽車や夜行バス旅の醍醐味ですね。

午前7時、弘前バスターミナル。
手前に横浜からの弘南バス1号車、続いて、品川からの京急バス2号車が縦列で到着しました。

4月下旬。
目的は弘前城の観桜でした。
徒歩15分ほどで城郭に到着。
桜花爛漫。
夜想曲からの、
清々しい目覚めでした。

夜、移動して、早朝から1日をフル活用。
早起きは三文の徳。
夜行バスはそんな私の味方です。

東京と弘前と、ダイレクトアクセス。
ノクターン号で目覚めれば弘前。
これからも沢山の夢を乗せて、いつまでも走り続けて欲しいです。