22時00分、東京駅、9番線。

憧れの夜汽車、サンライズ。

行く宛はともかく、
とにかく気持ちを切り替えようと、
今宵は夢の旅路へ。

サンライズ瀬戸号、
車中の人となります。

この空間を独り占めできるのですから、ささやかな贅沢です。

走り出して、室内の灯りを消せば、
車窓は貸切の映画館。
ロードムービーのようです。

そして、プシューッと。

一杯だけ、一杯だけの至福。

鉄輪が滑らかにレールを撫でて、西へ。
ゴーゴーウェスト!
ニンニキニキニキニンニンニン
ちょっと古いですが。

目覚めれば岡山駅に。

ここでサンライズ瀬戸号、サンライズ出雲号が切離しされます。
私は、両方ともホームで見送ってしまい…。ここで心はサンセット。
そう、本当は出雲に行きたかったのに、瀬戸号のチケットしか取れなかったのです。

で、気を取り直して。
早朝の岡山駅を探索。
あぁ、「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」という観光列車にも乗ってみたいですね。

こちらは岡山駅の改札口です。
だれもいない改札口、大好きです。

懐かしい国鉄型の電車が顔を付き合わせています。かわいいです。
なぜお互いが前照灯を点けているのかというと、人の転落防止とのこと。視覚に障がいをお持ちの方でも、灯りを感じ取っていただくことで注意喚起になるのですって。
思わず、へぇボタン連打。

童心で30分ほど駅内散策していると、懐かしい国鉄型車両がやってきました。

岡山からの陰陽連絡の担い手「やくも」号に身を委ねます。
自然振り子式電車381系。絶滅危惧種。
振り子式とは台車と車体との間にコロをかませてカーブ通過時に遠心力で車体を傾けて、カーブの多い線区でもスイスイ走る技術。車体の重心を低くするために、屋根上にあるはずの機器類は、すっきり床下へ収納。スピードアップを目的として国鉄が導入したものですが、その特性から「乗物酔い」を誘発(注:皆が酔うわけではありません。)し、快適性が求められる近年では敬遠され、現役はこのやくも号だけになってしまいました。

スイスイと分水嶺を越えて、
いつしか川の流れが日本海へと変わり、
山が開けると
うっすらと大山の姿が見えました。
伯耆富士の名を持つ美しい姿にうっとり。

やくも号は山陰線に入り、中海や宍道湖を右手に見ながら走り、

出雲市駅に到着。
先程岡山駅で別れを告げたはずの…。

サンライズ出雲号に追い付きました!

これはこれでいいですね。

私の心はサンライズ、サンセット。
そして、再びサンライズです。
さて、これから出雲を駆け回ります。