これが天空の白鷺と呼ばれた真の白さだったのですね。
修復により、真白に輝いています。

平成5年に法隆寺とともに日本初の世界文化遺産となった、姫路城。

姫路駅に降り立つと、姫路城が迎えてくれます。
400年もの永きに渡りお城に見守られてきた姫路の街。とても品よく感じられて、素敵ですね。

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さて、暫し時間旅行へ。

姫路城とは姫路駅を挟んで反対側にある手柄山では、姫路城が世界文化遺産となる約30年前に姫路大博覧会が開催されました。姫路城昭和の大修理を記念して行われた地方博です。回転レストランなどの施設はまだ残っていて、当時に思いを馳せるとワクワクします。

そして、その会場への足として活躍したのが姫路市営モノレール。当時、山を越えて鳥取まで延伸しようと言われていた、世界一を目指したモノレールなのです。


そして、そのモノレールが当時の姿を保ちつつ、展示されていると言うではありませんか。

ジャーン。
祝・開通。


エアコン普及前夜、懐かしい形状の天井。ファンデリアで強制換気に全席クロスシートの贅沢仕様です。

少し懐かしい、幼い頃の記憶の中にあるような…。姫路モノレールに乗ったことはないのですが、昔のバスや電車はこんなフカフカな椅子でしたっけ。お出掛け気分を昂らせるような、今よりも高級感がありますね。

お人形が当時の家族を再現。オシャレの先端でしょうか。


下から見上げてみます。
丸みを帯びた愛らしいこのデザイン。とっても味があります。これがウルトラマン放映前のデザインなのですから驚きです。

自治体初のモノレール。東京モノレールに次いで、日本2番手のモノレール。当時の夢の塊ですね。

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モノレール展示室を後にして、手柄山から望む姫路城。街を新幹線の高架線が横切ります。


では、モノレールの面影を辿って、街に出てみましょう。
手柄山から下りて駅に向かうと、川沿いに残るコンクリートの橋脚群。モノレールは川面に姿を映しながら、空を滑るように手柄山から姫路の街へ向かって走っていたのでしょう。


現代遺産。

夕暮れ、もうモノレールが走ることのないレールの上で。カラスは何を想うのか。


早すぎた近未来。高層アパートの下には、唯一の中間駅となる大将軍駅跡がレールとともに残ります。
1966年にできた風景だと思うと、当時の衝撃は如何ばかりかと。


手柄山から姫路駅までは、わずか1.6㎞。駅が近づくと、橋脚と一体化された住宅と商店とが。ここにも描かれた近未来の残像が。


姫路駅に戻ると、どっぷり日も暮れて。
ライトアップされた天空の白鷺が待っていてくれました。

400年以上この街を見守ってきた姫路城。わずか8年の短命で終わった姫路モノレール。対照的なそれぞれの生きざまを思いながら空腹のベルが鳴り響き、自分も生きていることに気づきました。


麺が特徴の、姫路駅で愛される駅そば。ご馳走さまでした。歩き回ったあとだから、胃袋に入ったあったかい汁が全身に心地よく染み渡っていきます。


400年でも、たった8年でも、一度きりの人生。大切ないのちの限り、かけがえのない人生を自分らしく生きていこう。

そんなことを想った、錆びた鉄の錆び落とし。姫路にて、2015年秋。